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貿易赤字は悪いのか(GDPの見方)②

■日本は貿易立国ではない

貿易黒字や貿易赤字がここまで大きくクローズアップされる背景には、日本が貿易立国であるというイメージが強いからだと思われます。前回見たように需要面から見たGDPは次のように示されます。

需要面から見たGDP=国内消費+投資+政府支出+輸出-輸入

総務省統計局HPによれば、主要国のGDPに占める輸出および輸入の割合は次のとおりです(2014年度の輸出依存度・輸入依存度)。

ドイツ
輸出依存度39.9 輸入依存度32.7
イギリス
輸出依存度18.8 輸入依存度25.5
フランス
輸出依存度20.7 輸入依存度24.4
イタリア
輸出依存度25.0 輸入依存度23.0
カナダ
輸出依存度25.1 輸入依存度25.3
ロシア
輸出依存度25.0 輸入依存度18.0
日本
輸出依存度14.6 輸入依存度17.0
アメリカ
輸出依存度9.4 輸入依存度13.9
中国
輸出依存度23.3 輸入依存度20.6
韓国
輸出依存度42.9 輸入依存度39.5

日本はOECD7カ国のうち、アメリカについで2番目に輸出依存度が低いのです。輸出がGDPに占める割合だけ見れば、なんと貿易立国のイメージがほとんどないイギリスやフランス、イタリアなどよりも低いのです。

このように日本は内需国なのですから、貿易収支に一喜一憂するより、全体の6割を占める国内消費や景気の先行きを占う国内投資を上げることに関心を払うべきです。民間の消費や投資が落ち込んでいるのであれば代わりに政府が支出を増やすしかないのですが、2014年度以降は消費増税をあり、財政は緊縮傾向であり、これではなかなか景気は浮揚しないでしょう。


■為替リスクが迫る韓国

本ブログでもたびたび取り上げているように、日本企業の業績に対する為替の影響は大きいものがありますが、貿易依存度が極めて高いドイツや韓国に比べればまだましと言えます。

ドイツの場合は、ユーロという単一通貨により、為替リスクは極めて軽微と言えます(詳しくは「統一通貨ユーロがもたらしたもの①」をご参照ください)。しかしながら、ユーロは経済的な実力でかなりの差がある国々に無理やり単一通貨を課したものですから、もともと制度上無理があり、今後は離脱国が出はじめて、崩壊するかもしれません(私はいずれ崩壊するのではないかと見ています)。

韓国の場合は深刻かもしれません、政権が完全に機能不全に陥り国の国際的な信認が低下する中で、投機筋による通貨アタックの可能性があります。日韓スワップ協定に向けた話し合いが慰安婦問題でストップしてしまっているので、韓国当局がウォン急落を支えるためのドルがなく、それを見越してウォンの投げ売りが行われる可能性があり、韓国発のアジア通貨危機の再燃を指摘する声もあります。

韓国は輸出依存度42.9%、輸入依存度39.5%で、まさに輸入してきたものを加工して輸出する国です。ウォン安は輸出には追い風かもしれませんが、輸入には逆風です。

また急激な通貨安は国内で急激なインフレをもたらす可能性があります。
ウォン安によりウォンベースの輸入価格は上昇しますから、それが製品価格に転嫁される可能性があるからです。またウォンの投げ売りで、韓国内の財に対する通貨の割合が上昇しますので、相対的に希少性が増した財の価格(物価)は上昇するからです。

いずれにせよ韓国経済にとっては大ピンチです。日本国民としては慰安婦問題などでの韓国の対応は承服しがたいものがありますが、下手に韓国発の通貨危機のとばっちりをくらうよりは、(日本にとっては大した負担ではない)日韓スワップ協定を結んでしまったほうがよいかもしれません。

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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