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トランプ政権への現実的な対応は?②

前回、「トランプ大統領は実はアメリカのプアホワイトの所得拡大に熱心ではない」
「失業率を政策的に下げられないことを知っている」という可能性を挙げてみました。もしこの2つが事実だと仮定したら、トランプ大統領の真意はどこにあるのでしょうか。


■文句をつけるより現実的な対処を

最近のトランプ大統領の発言に対し、日本の自動車メーカーは既にアメリカで150万人の雇用を生んでいるとか、製造業では日本企業が最も雇用を創出している(最大はイギリス企業ですがサービス業中心)とかいった反論があります。

こうした事実を挙げてトランプ大統領を説得すべきであるという論調が多いのですが、(試み自体は否定しませんが)ほとんど効果はないでしょう。トランプ大統領が素直に説得に応じるとはとても思えません、何せ公約どおりなのですから。無駄な努力をするより、むしろトランプ大統領の発言の背景を考えて現実的に対処すべきだと思います。


■トランプ大統領の真意は?

アメリカのプアホワイトの所得拡大にそもそも関心がなく、失業率を政策的に下げられないことを知っているのに、なぜトランプ大統領は、雇用拡大を叫び日本企業を叩くのでしょうか。高橋洋一氏(嘉悦大学教授)や山口敬之氏(ジャーナリスト)の見解を参考に、私は次のように推測します。

大統領選でエスタブリッシュメントのヒラリー候補への対抗上、プアホワイトへのアピールのために保護貿易・移民反対を公約に掲げてしまったので、それに沿ったポーズを取るしかないというところなのではないでしょうか。

政策的に失業率が下げられないとなると、トランプ政権にやれることは個別企業を叩くことしかありません。しかしながら個別企業を叩いても、出てくるのは数千人単位の雇用に過ぎません。

さらにもともと失業率を下げられないことを知っているとなると、公約に沿うような象徴的な雇用でさえあれば、トランプ大統領にとっては数千人単位の雇用増でもよいのかもしれないということになります。


■日本企業の雇用増は口約束で構わない?

トランプ大統領はディール(取引)を好むということで、そのディールとは「取引相手による自身の公約に沿うような象徴的なオファーの提供」と「トランプ大統領によるそれ以外の面での見返りの提供」です。文句を言っているくらいなら、そのために日本側ができることは何かを考えるべきでしょう。

企業レベルではトヨタのようにアメリカでの生産拡大があります。象徴的な意味合いでしかないのであれば、規模はそれほど大きくなくてもよく、期間もずるずる伸ばし気味でもよいかもしれません。「4年間で何人雇う」というパターンです。

トランプ政権は少なくとも4年は続くのですから、ご機嫌を取っておいて悪いことはなく、優遇税制などの恩恵を受けることが期待できるかもしれません。いずれにせよ楯突くだけ損です。


トランプ大統領の軍門に下るようで屈辱的な感じもしますが、もともと商売とは相手の言うことに(少なくとも見かけ上は)合わせるものです。交渉術では「いかに相手に勝ったと思わせるか(相手の勝利宣言を書けるか)」が交渉成立のためのポイントと言われます。
(つづく)
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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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