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トランプ政権への現実的な対応は?④

■日本は為替介入を行っていない

トランプ大統領の日本叩きは、予想どおり為替に向かいました。いわく日本と中国の通貨安政策がアメリカを蝕んできたというものです。

為替については、何度かこのブログでも取り上げてきましたが、念のため事実を確認しておきます。

まず中国については、事実上の固定相場制ですから為替操作を行っていることは言うまでもないことです。固定相場を維持するためには、為替介入を行う必要があるからです。

ただし最近の中国では、景気減速からむしろ人民元安にレートが振れており、逆の人民元高誘導するために、ドル売り元買い介入を行っています。買われている通貨は増価しますので、トランプ大統領の言うように元安政策ではなく、元高政策を行っているということです。このことは、中国の外貨(ドル)準備高が急速に減少していることからも確認できます。

一方、日本では、為替介入は財務省の指示で行われますが、旧民主党政権下の2011年度末より5年以上行われていません。アベノミクス以降の円安は、デフレ脱却という国内経済浮揚のための量的金融緩和による副次的なものです。

リーマンショック以降、先進国各国は景気回復のために量的緩和を実施しました。
2008年8月時点の各国のマネタリーベース(マネタリーベース、中央銀行が提供するお金の量)を1とし、2012年度10月時点を確認してみると、アメリカは3.1倍、イギリスは4.1倍、ユーロ圏は1.9倍に対し、日本は1.5倍に留まりました。特に最初の2年間ではほとんど増やしていません(1.1倍程度)。

つまりトランプ氏のいう日中の為替操作は、それぞれ意味合いは異なりますが、妥当性を欠く発言だと言えます。日本について言えば、「そもそもアメリカがやってきたことを日本でもやっているだけ」です。


■関税を引き上げるとドル高になってしまう

トランプ大統領は、日本製品に対する関税の引き上げを示唆しています。円安批判や関税引き上げは、あたかもアメリカの一貫した保護主義政策の現れであるかに見えますが、実はそうではありません。

少し話が変わりますが、ここで長期的な為替の形成要因について触れておきます。経済学では為替は貿易収支の動きに応じて修正されるというものがあります。

日米で考えると、日本の対米貿易黒字というのは、円建ての日本製品に対するアメリカでの需要が高いことを意味しますので、貿易黒字が拡大するほど、円買いドル売り、すなわち円高ドル安に触れるようになります。

逆に貿易黒字が縮小するほど、円建ての日本製品に対するアメリカでの需要が減少していることを意味しますので、円売りドル買い、すなわち円安ドル高に触れるようになります。

日本製品への関税引き上げは、円建ての日本製品のアメリカでの需要減少をもたらします。その結果、円が必要なくなるので円が売られドルが買われるようになりまます。

興味深いことにトランプ大統領が言う関税政策を行うと、ドル高に振れて、かえって自らの首を締めることになりかねないのです。

(つづく)

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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