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経済学を学ぶ意義①(帰納法と演繹法)

私は某資格受験指導校で中小企業診断士の経済学を担当しています。毎年、受講生の方の反応を見ると、なかなか苦戦をなさっている方が多く見られます。もっとも人のことは言えず、自分が受験勉強した15年ほど前もよくわけが分からず、きちんと理解できたのは、自分が経済学の教材担当となった6年ほど前以降になってからです(ちなみに現在は担当していません)。
中小企業診断士は中小企業に対するコンサルタントの国家資格ですから、「経済学を学んで何か意味あるの?」というのが正直なところではないでしょうか。中小企業診断士では珍しい方かもしれませんが、自分自身が割と経済学が好きなこともあり、今回は、経済学を学ぶ意義、特に経済学的思考はどのように普段の生活に活かせるかを私見ながら考えてみたいと思います。


■文系だと帰納法的になる?

一般的に多くの人は帰納法で考える傾向があります。帰納法とは、簡単に言えば、いくつかの事象から共通する項目を見つけ出してそれを結論にするという思考のことです。「Aさんも死ぬ、Bさんも死ぬ、Cさんも死ぬ。だから人間はみな死ぬ」といった具合です。

では、次の3つの内容から何が結論として言えるでしょうか?

・人材紹介会社には中小企業が多い。
・旅行代理店には中小企業が多い。
・不動産仲介業には中小企業が多い


多くの方が、「サービス業は中小企業が多い」という結論をイメージしたのではないでしょうか。しかしながら、他にも「仲介業は中小企業が多い」「許認可制の事業には中小企業が多い」といった結論でも誤りではありません。

つまり帰納法の問題点は、解釈によっていかようにでも結論が変わってしまうということです。これはサンプル数が少ないと顕著に現れます。

「○○はオススメだよ、買った友達が言っていたから。」というのは、サンプルが1つ(1人の友人の意見)しかないのですから、信憑性に疑念が生じるのは言うまでもありません。このように身近にあることからイメージして考えるというのは典型的な帰納法的発想です。

帰納法的発想は私を含めどちらかと言えば文系の方に多く見られるように思います(もっとも理系の方でも多く見られますが)。この場合、身近なことでイメージしてしまう、身近なことからイメージできないと理解できなくなるおそれがあります。

社会科学系は結果をもたらす変数(要因)が複雑ですから、帰納法的な発想に頼らざるを得ない面があります。よって文化系の人は、どうしても帰納法的な考えを行いがちになるのではないでしょうか。


■経済学は演繹法?

一方、経済学、特にマクロ経済学は、まったく身近なものではありません。「こうなれば円安になる」とか「こうなれば金利が上がる」とかいったことは、金融機関でディーリングをやっているとか、外貨投資や債券投資にのめり込んでいないとイメージしにくいでしょう。普通の人であれば、身近にあることからイメージして考えるというのは困難なはずです。

また経済学は、もともと物理学を範に置いているところがあります。数式を使ったモデルで客観的に経済事象をロジカルに説明したがるということです。

このことは言い換えれば演繹法による論理展開ということもできます。演繹法とは、いわゆる三段論法のことで、絶対的に正しいことや、一般的に正しいと判断されること(前提)から、妥当と思われる結論を導くものです。たとえば「人は必ず死ぬ」「ソクラテスは人間である」という前提条件から、「だからソクラテスは必ず死ぬ」という結論を得ます。

経済学で扱うマンデル=フレミングモデルでは、「変動相場制で財政政策を行った場合のGDPへの影響」は、7つの段階(前提条件)を経て結論が得られます。


■演繹法的思考を磨く

こうして考えると、経済学を学ぶ意義は、演繹法的思考を磨く訓練ということが言えるのではないでしょうか。私たちは「みんながそう言っているから(ただし、本当にみんなかどうかは疑わしい)」とか「今までそうだったから」とか「そのように教えられてきたから」とかいったものに判断が影響されがちです。

経済学を通じて演繹法的にロジカルに考える癖をつけることができれば、意義深いものになると思います。
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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
※ (at) は @ に置き換えて下さい
(お急ぎの場合は携帯電話までご連絡ください)

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