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ビジネスモデル⑤(ビジネスモデル構築の手順)

前回は、兵庫県立大学の川上昌直教授の「ビジネスモデルの9セル」を取り上げました。今後、このモデルに沿って話を進めていきたいと思います。今回はビジネスモデル構築の手順について取り上げます。
ビジネスモデルの9セル
■ビジネスモデル構築の手順

「ビジネスモデルの9セル」に沿ったビジネスモデル構築の手順は、次のとおりです。

(1)顧客価値を定義する
⇒自社と他社で顧客価値の違いをどのように出すか?

(2)利益の取り方を設計する
⇒自社の価値提案で積極的にどんな利益の取り方ができるのか?
※顧客価値が平凡でも利益の取り方が面白ければユニークなビジネスモデルになる。

(3)プロセスを設計する
⇒顧客価値提案と利益設計の組み合わせをどのように実行するか?



■ビジネスモデルと事業計画の違い

よくビジネスモデルと事業計画は同じもののように考えられます。しかしながらビジネスモデルと事業計画は似て非なるものです。

事業計画が「これを売ったらどれくらいの利益が取れるか」を表すものであるのに対し、ビジネスモデルは「この価値提案で積極的にどんな利益の取り方ができるのか」を示すものです。

つまり事業計画は規定の事業内容を所与として実現する利益のシミュレーションであるのに対し、ビジネスモデルは価値提案を考え、利益のとり方そのものを創造するというイノベーティブなものです。


■失敗から迅速に学ぶ

ビジネスモデルの構築を含めイノベーションには仮説検証型のビジネスサイクルが求められます。

アントレプレナーとして豊富な実績のあるスティーブ・ブランクは、スタートアップ企業の立ち上げについて、次の4ステップを挙げています。

① 顧客発見(聞いて発見)
② 顧客実証(売って検証)
③ 顧客開拓(リーチを検証)
④ 組織構築(本格拡大)

そして、もし②の「顧客実証」でつまずいたら、ピボット(軌道修正)して①に戻ります。

ブランクは「スタートアップにチームは2つだけでいい。商品開発と顧客開発だ。マーケティングも営業も事業開発もまずは要らない。」といいます。


ビジネスアイデアやビジネスモデルの失敗は、「商品やサービスを開発したのはいいけれど、顧客がいなかった」というケースが多いでしょう。またビジネスは当初のねらいどおりにいくとは限りません。失敗から迅速に学ぶことが求められます。つまり仮説検証サイクルです。


■「完全にしてからやる」「とにかくやる」は間違い

ブランクの弟子であるエリック・リースは、仮説検証サイクルを「構築・計測・学習」サイクルと呼び、その検証のためにつくる試作品のことをMVPと名付けました。MVPは最優秀選手ではなく、実用最小限の製品(Minimum Viable Product)のことです。

リースは、スタートアップ企業の立ち上げには「無駄なものを作らない」というリーン・スタートアップが重要だとしています。リーン・スタートアップの要点は次の3つです。

・顧客提供価値が上がるものだけをやる。
・検証できる・学びにつながるものだけをやる。
・MVPで構築・計測・学習サイクルを高速回転する。

ここでは顧客に価値を提供できないものはもちろん、検証や学びにつながらないものもすべて無駄とされます。不確実・不透明なイノベーションの現場では、「完全にしてからやる」「とにかくやる」は間違いなのです。

冒頭に挙げた「ビジネスモデルの9セルに沿ったビジネスモデル構築の手順」でも、仮説検証のサイクルが求められることは言うまでもありません。


【参考】
『これから伸びる人の必修科目「ビジネスモデル」のきほん』川上昌直著 翔泳社
『ビジネスモデル全史』三谷宏治著 ディスカヴァー・トゥエンティワン



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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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