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待機児童問題を経済学で考えると?

保育園の待機児童問題は、首都圏など限られた地域での問題ですが、今回はこの問題を経済学的に考えてみたいと思います。保育園の待機児童問題は、経済学的には最も簡単な部類の問題かもしれません


■保育園問題を経済モデルで表すと?

認可保育園の保育料は、住民税の所得割額から算定されますが、基本的に公定価格であり、市場の需要と供給から決まるわけではありません。入園希望者が多いにもかかわらず供給が追いつかないということで、実際の保育料は、市場の需給で決まる均衡保育料よりも安く設定されていることになります。

これを簡単な需要と供給の図で表すと、次のようなものになります。

待機児童①

■まずは保育園の市場化を進める

供給サイドを見ると、認可保育園は国が定めた認可基準(施設の広さ、保育士等の職員数、給食設備、防災管理、衛生管理など)をクリアして都道府県知事に認可されます。一方、無認可は届出制ですが、認可保育園の保育料がアンカーとなり、保育料は抑え気味にならざるを得ません。

供給不足であることは明らかなので、まずは供給量を上げる必要があります。そのためには公定価格を撤廃する、認可基準を緩和するなど、自由市場化を進めるしかありません。保育料が上がれば新規参入が増加しますし、保育園の収益が上がれば相対的に低い保育士の賃金も上がるはずです。

また需要サイドを見ても、結果的に利用できる人たちが増加します。


■低所得者には補助金で問題は解決

保育料の上昇は、おそらく「金持ちしか利用できないじゃないか」という反発を招くと思いますが、それは一部の保育サービス利用者への給付金支給で解決できます。供給サイド全体の余剰(生産者余剰:これまでよりも高く売れる分の合計)が増加しますから、そこから税金という形で徴収することができるからです。

また、現在、保育士試験の合格率は約20%と難関ですが(他に短大や専門校による養成校コースあり)、これを緩和すれば保育士不足も緩和されます。その結果、保育園の参入を後押しし、供給曲線が左側にシフトすることで、保育料の上昇をある程度抑えることが出来るでしょう。

待機児童②
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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
※ (at) は @ に置き換えて下さい
(お急ぎの場合は携帯電話までご連絡ください)

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