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ユーザーイノベーション①(顧客の声は聞くべきか?)

■顧客の声は聞くべきか?

唐突ですが顧客の声は聞くべきでしょうか?答えは「場合によりけり」です。

「顧客のニーズに耳を傾けろ」とはよく言われますが、本ブログの「ビジネスモデル⑥(顧客価値を考えるヒント1:使用シーンを考える)」でも触れたように、寄せられる声のほとんどは、「安くして欲しい」「早くして欲しい」「機能をつけて欲しい」など、ごくごく当たり前の声です。

こうした声に耳を傾けること自体は悪い声ではありませんが、売り手側としてはやれるものなら既にやっているはずです。そして同業他社にもこのような声は当然ながら届いているでしょう。

顧客が既に認識しているニーズに対応することは、これまでにないようなユニークな商品の開発やイノベーションにはつながりにくいのです。もっとも問題点の解消(改善レベル)であれば顧客の声は有効ですから、もちろん顧客の声を聞かなくて良いわけではありません。


■潜在ニーズを掘り起こす

イノベーションを起こすには、顧客がまだ気がついていないニーズ(潜在的なニーズ)を掘り起こし、それを解消するという価値提案が重要だとされます。

そのためには、これまでのイノベーション論では、製品開発者が自ら製品の使用場面を観察したり、実際に使ってみて問題点を掘り起こすといったことが行われます。
こうした行為は参与観察と呼ばれ、P&Gなどのケースが有名です。

あるいはグループインタビュー形式でモニターの意見を聴くフォーカスグループインタビューや、製品に対するイメージや要望を深層部分まで掘り起こすデプスインタビューなどが行われたりします。

シチューのデプスインタビューでは、たとえば「シチューに対してどのようなイメージがあるか」「どのようなシチュエーションを思い浮かぶか」「自分がシチューだったら、どんな言葉を発するか」などといったことを聞き、それを商品コンセプトに反映させるわけです。


■ユーザー発のイノベーション

しかしながらその一方で、メーカーなどの開発者をハッとさせるようなアイデアを持ちイノベーションを行うユーザーも僅かながら存在します。彼らはリードユーザーといわれます。

リードユーザーの特徴は、①多数の一般ユーザーがやがて抱くことになる新しいニーズに直面している、②その新しいニーズを満たすイノベーションを実現することで大きな便益の獲得を期待できる、の2点があります。


リードユーザーの存在は、ハイテクの世界で指摘されるケースが多いです。たとえばソフトウェアをユーザー自ら改良するといったケースです。オープンソースのLinuxなんかは典型的なケースでしょう。

リードユーザーは一般の消費財でも見られます。たとえば、怪我で足が不自由になったエンジニアがバッテリー付きの歩行用ズボンを開発したり、オフロード用に自転車を改良したものがやがてマウンテンバイクになったり、レゴの愛好家たちがレゴの新商品を開発したりといったケースがあります。

このようにユーザーがイノベーションに取り組むことを、ユーザーイノベーションといいます。

【参考】
『ユーザーイノベーション』小川進著 東洋経済新報社
『買い物客はそのキーワードで手を伸ばす』学習院マネジメント・スクール著 ダイヤモンド社


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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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