fc2ブログ

発想のための観点⑤(ドラッカーによる「イノベーションの7つの機会」)

古典的な発想の観点といえば、ドラッカーによる「イノベーションの7つの機会」が有名です。


(1)予期せざるもの
 
想定していなかった成功や失敗から学んで、イノベーションのヒントを見つける。
例)IBMは当初、科学計算用にコンピュータを作ったが、企業が給与計算などの世俗的な仕事にコンピュータを使い始めた。IBMにとっては予想外の出来事で戸惑いを感じずにはいられなかったが、すぐにこのニーズに応じた。
例)3Mのポストイットはつかない糊から生まれた。


(2)調和せざるもの
企業が想定していた業績や市場に対する認識、商品に対する価値観などにおいて、実際の顧ニーズや市場動向とギャップが存在することがわかった場合に、それをヒントにするもの。
例)アメリカの自動車メーカーが「アメリカ人は大きな自動車を好む」と考えていたのに対し、日本の自動車メーカーは小型で燃費が良い自動車で市場を奪うことに成功した。


(3)プロセス・ニーズ
現在不足しているプロセスや労働力、ノウハウなどを充足・補完することでイノベーションを果たすもの。
例)以前、個人が荷物を送るには郵便局か小荷物取り扱い駅に持参するしかなかった。しかもいつ届くのかさえわからない状況であった。そこに「電話1本で集荷・1個でも家庭へ集荷・翌日配達・運賃は安くて明瞭・荷造りが簡単」というコンセプトの『宅急便』が誕生した。
例)自動化されたもののほとんどが該当する。


(4)産業と市場の構造変化
市場における産業構造の変化の機会または脅威を捉え、イノベーションを起こす。
例)モータリゼーション社会を見越したヘンリーフォードは、コンベアシステムにより安価なT型フォードを大量生産し、市場を席巻した。
例)デフレ経済下でのユニクロや吉野家、100円ショップなど。


(5)人口構成の変化
社会の人口の増減、年齢構成の変化、それから生じる所得や雇用の状況などの変化を捉え、イノベーションの機会とするもの。
例)先進国の高齢化社会の進展に向けたビジネス。


(6)認識の変化
社会のライフスタイルや価値観の変化を捉え、それを利用してイノベーションを起こすもの。
例)健康志向の高まりにより、健康食品や健康器具を開発する。


(7)新しい知識
研究開発などにより新しい知識が発見されたら、それを利用した革新的な製品やサービスを開発するもの。

例)自社の電子写真技術(ゼログラフィ)をもとにコピー機を開発したゼロックス
例)セイコーのクォーツ式時計
例)医薬品


「イノベーションの7つの機会」は、現在でも有効な観点だとは思いますが、(2)から(7)まではもはや誰でも気がつきそうな感があります。ただし「(1)予期せざるもの」は私たちがともすれば忘れがちな観点です。

イノベーションはねらったどおり実現することは希で失敗の連続かと思いますが、その経験の中からいかに何かを学べるかが重要です。これはイノベーションに限らず、経営戦略でもビジネスモデルでも意図せざる結果を取り入れて修正していくことが成功の鍵となります。


【参考】
『イノベーションと企業家精神』P.F.ドラッカー著 ダイヤモンド社



スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
※ (at) は @ に置き換えて下さい
(お急ぎの場合は携帯電話までご連絡ください)

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR