fc2ブログ

フランス大統領選挙を経済学で読み解くと?③

■追い打ちをかける金融引き締め

金融緩和政策を続けてきたヨーロッパ中央銀行(ECB)も、本格的な縮小(出口政策)に踏み切る公算が強まっているとの見方があります。次期ECB総裁の有力氏とされているドイツ連邦銀行総裁のバイトマン氏は緊縮派で財政均衡主義者であり、仮に総裁就任ともなればフランスにとっては大きな暗雲です。

そもそも現状維持路線なのですからマクロン大統領の下でフランスが景気拡大することは難しいでしょう。「ルペン氏のほうが経済政策はまとも」とする経済学者は多いです。日本の安倍首相と同様、経済政策的にはルペン氏の方が左派寄りなのが興味深いところです。

もっとも先日のマクロン氏との討論を見ると、ルペン氏がきちんと経済政策を理解しているからは不明ですし、移民制限や関税政策が雇用回復につながるかは疑問です。またユーロからの離脱は短期的に大きな混乱を招くという犠牲が伴います。


■政策観はその人の経歴に左右される?

緊縮財政、金融引き締め、法人税減税、規制緩和というマクロン氏の政策を見ると、元投資銀行の幹部という経歴が影響しているようにも感じます。日本でも同様の主張をする人は、経営者や経営コンサルタント、経営学者に多いですが、どうもミクロ的な観点でマクロ政策を考えているようでなりません。

マクロン氏は系オランド政権下での経産大臣時代にマクロン法とも呼ばれる大規模な構造改革を進める法律を可決させ、商業施設の日曜や夜間営業の拡大や長距離バス路線の自由化などを実現しました。また自由貿易を推進する立場で保護主義のマクロン氏よりも評価できます。

元経営陣という立場ではマクロン氏は現在は労働者保護的な立場ですが、どこかのタイミングで労働者の解雇規制には緩和に舵を切るかもしれません。


■EUの行方

EUという経済圏には、2つの特徴があります。1つは関税撤廃による自由貿易圏という側面、もう1つは厳しい財政規律という側面です。

1つめに着目するとルペン氏のEU離脱は肯定できるものではありません。さらに農業国であるフランスはEUから多額の補助金をもらっていますので、EUに所属するメリットがあります。

ただし2つめの厳しい財政規律と統一通貨ユーロは、フランスなどの経済低迷国にとって明らかにマイナスに作用します。

EUは域内での自由貿易を堅持しつつも、(ECBが金融緩和を続け)各国の財政政策の裁量を認めなければ、今後もEU離脱の主張は高まるばかりでしょう。今回はマクロン氏が勝利しましたが、これはEU崩壊の流れの「終わりの始まり」ではなく、「始まりの終わり」と捉えるべきです。

【参考】
現代ビジネス/決選投票で極右ルペンが勝つかもしれない「これだけの理由」/20170427/安達 誠司

スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
※ (at) は @ に置き換えて下さい
(お急ぎの場合は携帯電話までご連絡ください)

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR