FC2ブログ

現場の改善能力(見える化)①

■現場の改善能力を組織能力に上げる

現場の改善活動は、これまで触れたPDCAサイクルに沿って行われます。現場の改善活動は個別的・対処療法的に行われるのではなく、現場(あるいは組織)全体で継続的に行われるようにしなければなりません。これが現場の改善能力として形成され、やがて組織全体の競争優位性につながるのです。

現場の改善能力を組織能力に上げるためには、段階を踏む必要があります。

0:改善意識も改善能力も低い
1:改善意識はあるが改善能力は低い
2:意識すれば改善できる
3:意識しなくても改善できる


多くの企業は第2段階の「意識すれば改善できる」で留まってしまいますが、ゴールは「意識しなくても改善できる」ようになることです。この段階に到達してはじめて改善能力は組織のくせ(組織能力)として定着するのです。


■「見える化」とは?

改善活動の計画に当たり、まず求められるのが解決すべき問題の認識です。しかしながら実際に起きた問題はすぐに対処されるでしょうが、その真因となる問題については把握しにくいことから放置される傾向があります。つまり表面的な対処療法に留まってしまうということです。

問題を効果的に発見するための仕組みが「見える化」です。「見える化」にははっきりとした定義はありませんが、潜在的で気が付きにくい問題を表面に出す(顕在化させる)ための取り組みと考えてよいでしょう。顕在化させるねらいは、メンバー間で情報を共有するためです。

「見える化」の例としては、トヨタの「あんどん」があります。これは工場の作業現場で何か異常が発生したら即座に職場メンバー全員に知らせるための電光掲示板です。些細な異常でも気がついたらラインストップボタンを押してラインを止めるとともに、異常を他のメンバーに知らせます。そしてメンバー全員で対応策を検討するのです。

図表やチャートを使った管理も「見える化」の例と言えます。たとえば営業成績や進捗管理を棒グラフやチャートなどで掲示する場合がありますが、これも本来は個々の状況をみんなで共有し対応を考えるためのものです(もっとも競争意欲や個人の進捗管理、ハッパがけに留まるケースが多いようですが)。顧客からの意見やクレームを掲示板に貼るのも「見える化」の取り組みです。

現場の改善活動に熱心なのは5%程度の核人材にすぎないと言われます。個々の改善活動を職場レベルあるいは組織レベルに高めるためには、5%から20%、そして理想的には100%に拡大していく必要があり、そのためにはまずはメンバー間で問題意識や情報を共有する必要があります。まさに「見える化」はそのための仕組みなのです。


■「見える」と「見る」は違う

今どき掲示板などITを利用した情報共有の仕組みは大企業ならどこでもやっているでしょう。ここで注意しなければならないのは、単に情報をオープンにしてもそれは「見える化」ではないということです。

私たちは情報共有という名のもとでいやというほど情報にさらされますが、はっきりいってほとんどがどうでもいい情報です。どうでもいい情報が多すぎて最初から情報全体を遮断してしまうことも多いでしょう。

一般的な意味での「情報共有」は、「見える化」ではなく「見る化」です。すなわち意識しなければ見えないのです。「見える化」は当事者以外でも意識せず様々な問題や事実が目に飛び込んでくるための仕組みであり、「見せる化」なのです。先に現場の改善能力のゴールは「意識しなくても改善できる」ようになることだと指摘しましたが、「見える化」はそのための仕組みなのです。

【参考】
『見える化』遠藤功著 東洋経済新報社
『現場力の教科書』遠藤功著 光文社
スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
※ (at) は @ に置き換えて下さい
(お急ぎの場合は携帯電話までご連絡ください)

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR