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信頼の科学①

■得るのは難く、失うは易し

他者から信頼を得るには、信頼に足る根拠をたくさん積み重ねていくことが必要で、それには長い時間がかかります。ところが、信頼を失うにはたった1度のまずい出来事があれば十分で、信頼はごく短時間で失われてしまいます。

このように、信頼を築くための時間や1つひとつの根拠の重みと、信頼が崩壊するまでの時間や出来事の大きさが、非対称的な関係にあることを信頼の非対称性といいます。では信頼の非対称性はなぜ生じるのでしょうか?


■信頼の非対称性はなぜ生じるのか?

1つめの理由は、ネガティビティ・バイアスの存在です。これは、悪い出来事は、良い出来事よりもインパクトが強いというものです。

たとえば普段の会話でも、良かったことよりも、悪かったことのほうが人に言いたくなるのでしゃないでしょうか。良い口コミは悪いクチコミよりも3倍広く(速く)伝わるといわれています。

ネガティビティ・バイアスの存在により、これまで培った相手に対する良い印象が、たった1つの悪い印象によってひっくり返ってしますのです。

2つめは、確証バイアスです。これは、自分の考えや印象に沿った情報ばかり意識的・無意識的に集めてしまうというものです。

これにより、一度相手に対し悪い印象を持つと、それを補強するような情報ばかりが集められたり、印象に残ったりするため、悪印象が強化されることになります。

3つめは、悪い印象の一般化と良い印象の限定化です。私たちは、悪いことは一般化し、良いことは限定的に見る傾向があります。

たとえば、一部の国からの輸入食品の安全性に問題があると、他の国からの輸入食品に対しても不安を感じてしまうといったケースです。この場合、安全性が損なわれた一部の国からの輸入を禁止するなど適切な対応が取られても、それは限定的な
事象と捉えられ、輸入食品全般に対する信頼は回復しません。

2月からの森友学園、加計学園に関する一連の騒動は、信頼の非対称性と関連付けて考えることができるのではないでしょうか。両者はまったく性格を異にするものですが、少なくとも野党やマスコミのスタンスには政権打倒という1つのスタンスがあるという点では同じように感じられます。

両者とも官邸ではなく官僚サイド(財務省と文科省)の問題と考えるのが妥当だと思いますが、安部総理とその支持者・友人との癒着という印象がネガティビティ・バイアスを生み、それを否定するような情報は報道されず(確証バイアス)、「たぶん森友でもやっただろうから加計もありうる」という悪い印象の一般化で話をしているような感じがしてなりません。


【参考】
『信頼学の教室』中谷内一也著 講談社

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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