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上海株式バブルはなぜ起こったのか?①

音楽が鳴り続く限り、ダンスはやめられない」(チャック・プリンス/元シティグループCEO)

上海株式市場における株価暴落が世界に波及していることは、みなさんご存知のとおりです。上海総合指数は、昨年年半ばまでは2000ポイント程度の水準で推移していたのが、昨年後半以降、値を上げ続け、今年の6月12日には、終値が5166.35ポイントまで上昇しました。しかし、その後は下落に転じ、8月25日には、とうとう昨年12月以来、3000ポイントを割り込みました(今年6月の高値と比べると42%の下落)。

中国当局も金融機関への大口の株式売却の事実上の禁止、一時上海・深圳両市場の上場企業のほぼ半数にあたる約1400銘柄の取引停止、株式市場への80兆円の資金注入、極端な報道規制などのPKO(price keeping operation:株価維持政策)を取っており、もはや自由取引はおろか株式市場でもなんでもない感すらあります。

それでもなかなか株安傾向に歯止めがかからないばかりか、かえって海外投資家に改めて共産党一党支配のリスクを示した形となり、今後の外資導入に大きな支障となることは間違えないのではないでしょうか。

中国経済については、年初より公表されている2014年度の実質GDP成長率7%というのはまったくのデタラメで、実態は良くてもせいぜい3%台だと言われるほど(注1)減速感が強まっていたにもかかわらず、株価は高騰を続けたわけですから、これは間違えなくバブルということになります。

そもそも上海株バブルはなぜ起きたのでしょうか。おおよそ一般的に言われていることは次のとおりです。

中国経済の急成長は主に国内総資本形成(国内の設備・不動産投資)で、これがGDPの約5割前後を占めてきました(日本は約2割)。一方、民間消費は30%台半ば(日本は約60%)です。つまり、極端な設備・不動産投資が経済を牽引してきたということです(注2)。

もともと内需が弱いですから、これらが過剰設備、過剰不動産開発となり、シャドーバンキング(地方政府による投資ファンドのようなもの)の不良債権問題に発展しました。しかしながら公約である経済成長を遂げるためには、中流所得層が育っていないために国内消費に頼れず(注2)、国内投資に頼らざるをえないという実情があります。

そこで投資資金を調達するために目をつけたのが世界一とも言われる高い民間貯蓄率です(注3)。具体的には低金利政策と(貯蓄しても利子があまりつかず魅力が少なくなる)、政府の大体的なPRの下、株式市場への投資を促したというわけです。

上海株式市場は、外資の資本取引規制などから、約8割が国内個人投資家と言われています。もちろん彼らのほとんどは、まともな知識や経験がないど素人の個人投資家です。このことがバブル形成の下地となっていきます。
(次回につづく)


注1:
国土が広大でかつ統計制度が整備されていない中国がなぜ1月20日にGDP(確報値)を発表できるのか(日本は2月16日に速報値を発表)については以前より疑問視されており、集計する前にGDP成長率が決まっているとの見方が強いです。
さらに李克強(現首相で経済問題の最高責任者)がかつて、GDP統計はあてにならず、電力消費、貨物輸送量、銀行融資だけがまともな統計だと語ったという話もあり(いわゆる李克強指数で、ウィキリークスで暴露された)、これによれば中国の今年上半期のGDPは3.2%増に留まるという調査結果もあります(公式発表では7.0%)。
また一般的に輸入の伸びとGDPの伸びは正の相関が確認されており(GDPが増加すると輸入が増加する)、かつ相手国が存在する輸入統計は誤魔化すことができない点から、中国の輸入(前年同期比で14%減)に注目すると、2015年度上半期で3%減少していてもおかしくないという見方もあります。

注2:
高度経済成長を遂げるためには国内投資は欠かせません。ただし日本においてピーク(1973年)時の36.4%と比べてもかなり高いことが分かります。

注3:
中国は社会主義にもかかわらず社会保険制度が極めて脆弱であることから、老後の資金のために、貯蓄率が高いと言われています。
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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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