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経済成長はどうすれば実現するのか?③(中所得国の罠)

■中所得国の罠

世界の国々を高所得国・中所得国・低所得国に分けた場合、低所得国と中所得国の境は1人当たりGDPが5000ドルであり、1人当たりGDPが1万ドル以上となることが高所得国への道であると言われています。

しかしながら低所得国から中所得国に成長したものの、1人当たりGDPが8000ドル周辺で行き詰まり、その後、長期停滞に陥った国が多くあります。これを「中所得国の罠」といいます。たとえばブラジル、アルゼンチン、メキシコ、マレーシア、タイ、ロシア、といった国々がいわゆる「年収1万ドルの壁」にぶつかっています。

「中所得国の罠」に陥るのは、技術力では先進国に劣り、労働力の安さでは低所得国に負けるというジレンマに陥るからで、ここから抜け出すためには、外資を導入し、知識水準を高め、イノベーションを行っていくしかありません。


■中国は成長できるのか?

現在の中国の1人当たりGDPは約8000ドル程度と言われていますから、中所得国です。しかしながら、すでに「中所得国の罠」に陥り始めているという指摘があります。その理由ついて、前々回の経済成長の3ステップを使って考えてみます。

現在の中国は、農村部からの余剰労働力を都市部が吸収し終え「ルイスの転換点」を迎えています。しかしながら、次の設備投資による工業化が十分に行われる前に、サービス経済化を急ぎ、消費社会が一気に形成しすぎたきらいがあります。

先進国では35%以上に達している第2次産業(製造業、建設業など)の比率が30%程度と低く、前々回で取り上げた成長の第2段階(設備投資により労働者1人当たりの生産設備の充実)から第3段階(知識や技術・技能による生産性の向上)への移行が上手くいっていない可能性があります。また、二次産業の基盤が未成熟なことも影響して、先進国と比べ独自の技術開発力が弱く、大きなマイナス要因となっています。

2000年代の初め、BRICSブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)と呼ばれ、成長が期待された国々のうち、インド以外は経済停滞に陥っているという事実も経済成長の難しさを物語っています。


【参考】
「なぜ日本だけがこの理不尽な世界で勝者になれるのか」高橋洋一著 KADOKAWA
「中国経済はどこまで崩壊するのか」安達誠司著 PHP

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No title

中国は巨大過ぎて、平均が意味をなさない。
上海の年収は150万ぐらいになり、先進国入りしている。
地方都市は中進国、農村は途上国です・・・
※国自体が、世界の縮図にたなっています。

金融だけで先進国になれるのは、都市国家ですね。
やっぱりハイテク産業が大事、韓国・台湾も抜け出している。
ただ日の丸家電が衰退しているので、心配です。
※アメリカは、apple/google/amazon/MS/HPで安泰。

No title

毎年のことですが、2017年の中国のGDPが超早ででましたね。この国の場合、ほとんど誰も真の成長率がわからないのかもしれません。
都市間での戦いというのは興味深いです。以前は産業クラスターなんて議論もありましたが、最近はどうなんでしょうか。
返す返すも超円高時代が悔やまれます。
プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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