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経済学者たちはなぜ対立するのか?①

■同じ経済学者でも意見が割れる理由

「アベノミクスで日本経済大躍進がやってくる(高橋洋一著 講談社)」
「リフレは正しい アベノミクスで復活する日本経済(岩田規久男著 PHP研究所)」

「アベノミクスとアホノミクス──浜矩子特別講義(浜矩子著 中経出版)」
「リフレはヤバい(小幡績著 ディスカヴァー・トゥエンティワン)」

これらの書籍はまだアベノミクスが始まったばかりの2013年に出版されたものです。上の2つがアベノミクスに肯定的な立場で、下の2つは否定的な立場です。同じ経済学者で、なぜこのような意見の違いが起きるのでしょうか?おおよそ次の理由が考えられます。

・自然科学分野(物理学・科学・天文学など)と比べて社会科学分野(経済学、政治学、経営学など)は歴史が浅く、未解決の部分が多い。よって、様々な推測が成り立ちうる。
・社会科学の場合、どうしても個人の価値観が入ってしまい、それに沿ったデータの解釈をしてしまったり、自らの考え方や信念を裏付ける情報ばかり集めてしまったりする(これを確証バイアスといいます)。個人の価値観は異なるので、意見が対立する。
・具体的には短期の視点と長期の視点のどちらを重視するかで結論が異なる。


マクロ経済政策には次の3つがあります。

成長政策
GDPの長期的な成長を目標とします。「GDP=国内総生産」であるので、生産の量を高める政策と言えます。具体的には規制緩和や生産性の向上、イノベーション政策がこれに該当します。

安定化政策
短期的な景気の安定化(好況・不況の緩和)を図る政策。財政政策(公共投資や増税・減税、給付金支給など)と金融政策(中央銀行による貨幣量のコントロールなど)がこれに当たります。

再分配政策
格差是正を図る政策。累進課税による高所得者から低所得者への所得再分配などがこれに当たります。

このうち、どれを重視するか(あるいは単純に「好みか」)によって、政策観が大いに変わってくるのです。経済学者や評論家の意見を聞く場合には、このことを意識する必要があります。


■経済学の偉人の教え

マクロ経済学の基礎を作り上げた偉人、ジョン・メイナード・ケインズは「良くも悪くも危険になるのは思想である」と述べています。人間である以上、価値観や思想を持つこと自体は決して悪いことではありませんが、事実を正しく認識し、対応を考える際には、個人の主観を排除し、新しい知見を進んで受け入れる度量を持つ必要があります。

ケインズの師であり、新古典派の巨人アルフレッド・マーシャルは、経済学者の心得として「cool head,but warm heart(冷静な頭脳と温かい心)」を訴えました。知性を磨いて社会に貢献しなくてはならないというわけです。

ケインズやマーシャルの言葉は、経済学者のみならず私たちにとっても戒めの言葉になります。

【参考】
「マンキュー経済学 II マクロ編(第3版)」N.グレゴリー マンキュー著 東洋経済新報社
「経済古典は役に立つ」竹中平蔵著 光文社
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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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