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合理的な人々は限界的な部分で考える

■合理的な人々は限界的な部分で考える

「限界」とは「端」という意味です。ある企業が、定価100円のモノをあと追加で1個販売すれば100円の収入が得られるとします。この場合は「限界収入が100円」と表現します。一方、その際に60円のコストが新たに発生するのなら「限界費用が60円」と表現します。この企業は差額で40円儲けが増えるので、追加の1個を販売するでしょう。

このように「ある行動の結果、限界的な便益が限界的な費用を上回れば企業(消費者)はその行動を選択する」でしょう。


■限界の考え方を追加投資に活かす

限界的な便益と限界的な費用の話は、追加投資の意思決定には極めて重要です。たとえば次のケースを考えてみてください。

<ケース>
ある新製品の開発にこれまで10億円投入しました。しかしながら予定が遅れ、完成するには追加で2億円の費用がかかります。一方、需要予測を見直したところ、売上は5億円しか見込めないことが判明しました。この新製品プロジェクトを続けると7億円の赤字です。経営者から開発を中止すべきか相談を受けたあなたは、どのようなアドバイスをしますか?



結論からいえば、この新製品開発を進めるべきです。中止すればこれまでの10億円の損が生じますが、進めれば7億円の損で収まるからです。

これまでかかった10億円は既に支払い済みで回収不能な費用です。これをサンクコスト(埋没費用)といいます。意思決定ではサンクコストは無視する必要があります。このプロジェクトではこれから生じる売上5億円(限界的な便益)と費用2億円(限界的な費用)だけ考えればよく、差し引きで3億円の利益があるので、開発を継続することになります。


■豊洲移転問題を経済学的に考えると?


先日の都議会選挙は小池都知事の都民ファーストの会が圧勝しました。公示直前に、築地市場の豊洲移転と築地の再利用を発表し争点化しないという手を売ったのは政治感覚的には見事でしょう。

豊洲問題は、以前からサンクコストの観点から移転すべきだという声はありました。当初は、6000億円近くに拡大した総事業費が問題だとされていましたが、これはサンクコストですから、今後の意思決定にはまったく影響しません。一方、豊洲開場による便益は、安全基準さえ満たせば4000億円と見込まれており、追加費用がこれを上回ることはまずありえませんから、さっさと移転すべきだったのです。

一方、築地の再利用ははっきりいってノープランで、たとえ都サイドで開発プランを考えてもいつもと同じで失敗するだけでしょう。当初の予定どおり築地の跡地は売却して豊洲の事業費に充てるのが合理的だったのです。少なくとも経済学的な観点から言えば、小池都政は無駄な支出が多すぎて肯定できません。

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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(お急ぎの場合は携帯電話までご連絡ください)

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