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経済学の教えをビジネス上の対策検討に活かす

■空転する会議

 

人の議論は、「○○をすべきだ」「いや、それは△△という問題がある。だから□□をすべきだ」というような感じでやりとりが進みます。また、たとえば会議の冒頭で「●●について自由に意見を述べて欲しい」というと、やたらと意見が拡散したり、逆にどんどん話がさかのぼってやたらと抽象的な話になってしまったりといったこともあります。たとえば売上不振の原因の話をしていると、「組織文化のせい」とか「社長がばかだから」とか言う人が1人くらいいたりします。

 

このようなことが起きないための教えとして、経済学の定理を紹介してみたいと思います。

 

 

■ティンバーゲンの定理

 

経済学ではティンバーゲンの定理というものがあります。これは「N個の政策目標を達成するためには、N個の政策が必要である」というものです。それぞれの問題に対しては別々に適切な政策を割り当てて実施しなければならないのです。

 

確かに実際には1つの対策で複数の問題を同時に解決できてしまうことはあります。ただし、まずは複数の問題に切り離し整理して対策を考えないと、問題の構造が分からなくなってしまったり、現実的に実行できる対策が検討できなくなったりします。先の例では組織文化は容易に変えられませんし、社長をクビになどできないでしょう。問題ごとに対策を考え、その上で問題の同時解決が可能かを考えるべきです。

 

 

■マンデルの定理

 

また1つの対策には、多くの場合、副作用があります。この副作用をことさら気にして(煽って)方策が実施に移されないことはよくあります。いわゆる「総論賛成、各論反対」というものです。

 

こうした場合に思い出して欲しいのは、マンデルの定理です。これは、「ある政策目標があった場合には、副作用の心配はいったん横に置いて、その目標を達成するためにもっとも安上がりな手段を取るべきだ」というものです。副作用については、ティンバーゲンの定理に沿って、別の対策を講じればよいのです。

 

 

■パレート効率性

 

経済問題の対立軸として典型的なのは消費者対企業かと思います。限られたパイを売り手と買い手で取り合っているというのはある程度は事実で、そこでどちらを優先すべきかで意見が分かれます。

 

この場合、経済学的な解答は明確で、「まずパイを増やし、分配は後から考えよ」です。経済学ではパレート効率性が前提になります。これは「誰かが損しなければほかの誰かが得をしない状態」のことです。

 

このような状態になるのは、パイが最大化している時で,そうなればもはや取り合いしかありません。逆に最大化していなければ、パイそのものを上げれば誰も損せず得をすることになります。いまだパイを最大化していないという意味でこれは非効率です(パレート非効率)。

 

パイが増えないとき、あるいは小さくなるときにそれを巡る争いが激しくなるのです。

 

何らかの政策の結果、仮に企業が損をし逆に消費者がかなり特をする結果、社会全体のパイが前よりも増えるとします。この場合、企業は反対するでしょうが、政策的にはGOです。まずパイを増やした上で、そのあとで消費者に課税して企業に補助金を分配すれば誰にとってもハッピーになります。

 

このことは自由貿易を考える上でも重要になります。自由貿易により一部の国内生産者は損をしますが、それに対しては補助金を付与するというのが経済学の標準的な考え方です。

 

このような考え方は私たちのビジネスシーンでも応用できます。個々の利害を調整するのではなく、まずは利益の絶対額を上げることを考えるべきでしょう。

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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(お急ぎの場合は携帯電話までご連絡ください)

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