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規制側の言い分を検証する(加計学園をめぐる疑惑の本質)

加計学園をめぐる閉会中審査が10日に行われました。これほど無意味なことに時間を割き、かつ事実無根のことで世論が変わることに個人的には怒りを通り越して恐怖すら感じます。

 

マスメディアは政権叩きスタンスありきで、「たぶんあっただろうから事実だ」といった憶測や、前川前次官が正しいことを前提に報道しているといった姿勢が目立ち、事実を手順を追って客観的に検証する意思は私にはまったく感じられないのです。

 

加計学園への決定に至るプロセスは時系列で考えれば何ら瑕疵はないと考えるのが自然ですが、今回は「規制緩和が善か悪か」という観点に絞ってみたいと思います。

 

 

■国家戦略特区ワーキンググループ議事要旨を読んで感じたこと

 

閉会中審査でも度々取り上げられていた国家戦略特区ワーキンググループの議事要旨を見ると、「何が何でも規制緩和したくない文科省」と「岩盤規制をこじあけたい官邸(民間委員)」という対立構造がはっきりと確認できます。

 

規制緩和の是非について私が重要だと思ったポイントだけ取り上げてみます。

※現在は獣医学部の認可・カリキュラムの作成が文科省、獣医師の国家試験は農水省が実施。

 

<文科省>

・獣医師が多いと質が低下し、国民生活に重大な影響を与える。

・需要予測に基づいて現在の獣医師の数は適正である。

 

<民間委員>

・どんな需要があるかというのは役所が判断するものではなくて市場が判断すべきこと。

・国民の安全を守るためだったら、供給は多ければ多いほどいい。

・そのほうが競争を通じて質も高まる。今の量だけで大丈夫だというのは、もう何十年前の知識を持った獣医でも新しいものに対応できるという前提になるわけだがそれが妥当だと思わない。獣医学分野というのは日進月歩だから、新しい技術を学んだ医者が必要。質の問題というのは全く考慮されていないのか?

 

<農水省>

・質は当然重要で国家試験で能力認定している。試験に受かれば能力があるとみなしている。量的なコントロールはしていない。

 

<文科省>

・無制限に養成するということは質の確保の観点から望ましくない。

 

<民間委員>

・質の担保は農水省が行っている試験の範疇で、文科省の大学認可で規制する理由がまったく理解できない。

・無制限にたとえ獣医師がふえたとしても、それはそれだけの知識と技術を持っている人たちがふえるというだけであって、何ら国民にとって害のある話ではない。

 

<文科省>

・(規制緩和で)法科大学院に入っても法曹資格を得ることができないのではないかという危惧を持っている学生がふえていて、今、法曹志願者の数が激減している。6年勉強しても法曹の職業につけないという可能性が学生たちに影響を及ぼすことを考慮すべきだ。

 

<民間委員>

・それは大学の方針と運営の間違いであって、ロースクールの合格率が悪いということは、国民に何の被害も与えていない。それは予定している就職ができなかったとか、予定していた資格が得られなかったというだけであって、それは就職試験に失敗する学生がたくさんいるのと全く同じ話であって、それを文科省が心配される話ではない。

・そもそも獣医師の場合は法曹資格とは違って人数制限はしていなくて、農水省は点数をクリアすれば受かるといっているのだから同じ問題ではない。

・別に受験者数がふえたから必ずレベルが下がるなどというものではない。きちっとした質を担保する試験をつくっていけばいい。

 

以上は、平成27年6月8日の国家戦略特区ワーキンググループ ヒアリング(議事要旨)から引用しました。それほどややこしい話でもないし、読むのに時間もかかりませんから、是非お読み頂ければと思います。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/hearing_s/150608_gijiyoushi_02.pdf

 

 

■規制緩和のメリットを活かし、副作用は別に対処すればよい

 

規制緩和というと必ず「新自由主義者だ」とか「○○という弊害があった」といった批判をする人がいます。たとえば田原総一郎氏の討論番組で郷原信郎弁護士(元検事)は、「規制緩和でバスの事故が増えた。規制緩和すればよいわけではない。」と言って今回の認可も批判していましたが、国交省の資料を見ると、「億キロメートル当たり事故件数」は、規制緩和後も89件程度で推移しており、実はほとんど変わっていません。このようにすぐにネットで調べられるデータも確認しないで安易に個人的な価値観で決めつける姿勢は識者(と言われる人)にも多く見られます。

 

また仮に弊害が出たとしても、前回取り上げたティンバーゲンの定理やマンデルの定理に沿えばいいだけの話です。規制緩和のメリットを享受しつつ弊害は弊害で別の対策を講じるのが筋で、少しでもリスクがあるから全部ダメというのはただの暴論としかいいようがありません。

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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