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コーディネーション・ゲーム②

■コーディネーションの失敗

 

前回は、コーディネーション・ゲームについて取り上げました。コーディネーション・ゲームとは、特別な理由はないが相手(みんな)が同じ選択をすることによって、お互いの利益が守られるようなゲームのことです。前回のペイオフマトリックスを製品規格の置き換えてみます。


コーディネーションの失敗 

コーディネーション・ゲームでは、ナッシュ均衡(ゲームに参加する各プレイヤーが、互いに対して最適な戦略を取り合っているという状況)は2つあり、そのどちらに落ち着くかは状況次第です。

 

上の例で言うと、仮に(ユーザーX:規格B、ユーザーY:規格B)に落ち着いたとしたら、規格Bがデファクト・スタンダード(事実上の業界標準)になってしまいます。それでは(ユーザーX:規格A、ユーザーY:規格A)の組み合わせ(規格Aがデファクトスタンダード)よりも利益が少なくなってしまいます。

 

このように複数のナッシュ均衡の中から、人々にとって望ましくない均衡に陥ってしまうことを、コーディネーションの失敗といいます。

 

必ずしも使い勝手が良くない製品規格がデファクト・スタンダード(事実上の業界標準)になってしまうことはしばしばあります。たとえば古くはキーボードの配列のQWERTY方式があります。現在のキーボードの配列は、タイプライター時代にアームの衝突を防ぐことを目的に採用され、タイピングには適した配列ではありませんでした。しかしながら、人々がそれに慣れてしまったために、その後アームの衝突を心配する必要がなくなったにもかかわらず、パソコ時代にもそれが標準化されてしまいました。また、家庭用VTRVHS企画も、対抗馬のベータと比べ、性能は必ずしも良くなかったと言われています。

 

 

■コーディネーションの失敗を抜け出すことは極めて困難

 

コーディネーション・ゲームには、①みんなが同じ行動をしてしまう(したくなる)、②安定してしまうと変えるのが難しいという特性がありますから、望ましくない均衡に一度陥るとそこから抜け出すことは極めて困難になります。

 

それまでの観点が180度変わるようなパラダイムシフトや、既存のペイオフマトリックスの利益パターンが変わり、望ましくないナッシュ均衡の組み合わせが圧倒的に不利になるような事態が生じたりしなければ、コーディネーションの失敗を克服することができないのです。

 

 

【参考】

『ゲーム理論の思考法』川西諭著 中経出版

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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