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無意識は意識を支配する②

では、無意識はどのように形成されるのでしょうか。

1つは人の経験やそれを通じた知識の獲得を通じてです。

たとえば新任の上司が着任したら、何回かのやりとりを通じてその上司に対する印象を抱き、接し方を学ぶでしょう。人間は、情報を取り入れる際には、個々の意味を解釈し、重要度を判断し、適切な感情を付随させる、という作業を同時に行います。道徳的な判断もこの時に下されます。

2つめは、このような個々の情報処理を通じて得たものが、修正されながらも遺伝的・文化的に継承されるというものです。

この中で最も重要であるのは、生存(種の保存)のための智恵でしょう。身体的には必ずしも生存に適していない人間が、危険がいっぱいの環境で生きていくためには、他人との協調が不可欠であったと考えられています。

たとえば好意に対しては自然に好意で報いようとするといったことは、協調やそのための共感・道徳心を重んじる遺伝的な無意識の反応です。快・不快の判断、種の保存に関する知見(注1)についても、同様に遺伝的に無意識に組み込まれています。

このように無意識は主に生存のためのパターン認識という面から形成されてきました。生存を脅かす、つまり恐怖に駆られれば、人は恐怖を早く消したいと望みます。この場合、どうなった時に勝つことができ、どうなった時に負けてしまうのか、そのパターンを知りたい、つまり、早く「わかった」状態になりたいと望むのです。パターンさえ分かれば恐怖から逃れることができるからです。

確かに現代に住む私たちには日常的に生存が脅かされるということはほとんどないでしょう。しかしながら、不安を感じ、何らかの説明が必要とされる時に無意識(第6感)が働くと言われています。

たとえばコピーが突然紙詰まりをしたら、私たちは「今日はコピーのご機嫌が悪いな」などと言ったりします。また台風や株価など、予測が困難な現象に対し、「大荒れしている」とか、まるでそれらの事象が人格を持っているかのように扱います(ハリケーンに人名をつけるのも同じ)。予測が困難な事象に対し、人格を持った存在だと仮定すれば、1つの物語として理解できるようになるからです(注2)。

先に触れたように、無意識(第6感)は、他人への理解(共感)を前提としていますから、予測が困難な現象が生じると、擬人化を通じたパターン認識、つまり無意識が作動するというわけです。

無意識は、あらゆる情報を状況込みで取り入れています。そして、知覚や判断、あるいは理性に大きな影響を与えています。もしいちいち意識して考えなければ道徳的判断が一切できないのだとしたら、我々はとても日常生活は送れないでしょう。意識(理性による判断)には時間がかかりすぎるからです。


注1:
男女とも左右対称の姿かたちを持つ異性や肌つやが良い異性を好むなどといったことです。
注2:
場合よっては、神の意志(「天恵だ」「神が怒っている」とか)にする場合もありますが、擬人化ということでは変わりません。

【参考】
「人生の科学『無意識』があなたの一生を決める」デイヴィッド・ブルックス著 早川書房
「人の心は読めるか? 」ニコラス・エプリー著 早川書房

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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