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ローエンド市場をねらう

ローエンドからの参入

 

今度は、市場の最下部、すなわち最も価格が低い層に参入するケースを考えてみます。


市場ピラミッド 

このパターンでは、ローエンド市場に参入するにとどまらず、そこを占拠したら中級品、高級品へとターゲットを移動していくことが多く見られます。

 

また、市場のローエンドへの参入は、市場に存在する既存の製品・サービスに対抗するため、既存市場の最下部よりもさらに低価格の製品・サービスを提供し、既存市場の下側にさらに新たな市場を作り出して参入するケースが見られます。

 

たとえば、途上国におけるBOP層(base of the economic pyramid:所得ピラミッドの最下層)に向けたビジネスが典型例で、タタモーターズの10万ルピー(発表当時のレートで約28万)カーなどがあります。

 

 

■ローエンド市場が参入しやすい理由

 

ローエンド市場が参入しやすい理由としては、3つ考えられます。

 

1つめは、ローエンドであれば顧客が価格のために製品の品質や機能についてある程度目をつむる傾向があるからです。安ければよいという顧客は一定程度必ずいます。よって、既存企業と対抗しうるだけの品質やブランドがない企業でも比較的参入しやすいと言えます。

 

2つめは、市場はピラミッド構造に沿って、通常は下側に向かって大きくなりますので、ローエンドをおさえると大きな事業規模を比較的簡単に獲得することができるからです。規模を獲得すれば、さらなるコスト優位や技術習得が可能となります。

 

3つめは、ローエンドの顧客は価格に敏感であり、すでに大企業である既存企業にとっては旨みが少なく、新規参入に対してそこを明け渡して明確な反撃をしないことが多いからです。

 

 

■ローエンドを足がかりにボリュームゾーンをねらう

 

参入者が一旦ローエンドの市場への参入が成功すると、規模の経済によってさらなる生産コストの優位が生じ、製品・サービス提供の経験を積むことによって次第に品質も向上しますので、さらに市場の上側をねらうことが可能になってきます。

 

そして、そこを既存企業から奪えば、既存企業の規模の経済は次第に縮小し、また既存企業が次第に数量を作らないことによる経験不足に陥ってさらに市場を明け渡すという、参入者側にとっては好循環、既存企業にとっては悪循環に陥っていくのです

 

 

■ローエンドへの参入のための条件

 

ローエンドは低価格ゾーンですから、当然ながら低コスト化が条件になります。よって、賃金水準が低い途上国で生産するといったことが多く見られます。

 

それ以外にも有効なのが、マイナスの差別化です。これは、顧客にとって必要な価値の提供にしぼるということです。

 

商品・サービスは、他社との競争の結果、過剰機能化しがちです。一般的な使用では不必要なスペックやオプションを盛り込みがちで、かえって使いにくさが目立ったり、(余計なコストが反映された分)価格が高すぎてしまったりといったことがありえます。

 

この場合、商品やサービスのパッケージをアンバンドリング(分解)して、必要な価値の提供にしぼることで、「使いやすさ」を提供しつつ価格を抑えるという価値を提供することができます。

 

例えば、QBハウス、シンプル携帯電話、立ち飲み屋などが、「不必要」を取り去ったケースでしょう。

 

またローエンドの事業モデルは市場特性上、単純なものとなりますので、既存企業の模倣は比較的容易です。よって、既存企業が反撃する暇を与えずスピード感を持ってローエンド市場を抑えてしまうことも重要な課題となります。

 

 

【参考】

『ビジネスモデルの教科書【上級編】』今枝昌宏著 東洋経済新報社

『そのビジネスから「儲け」を生み出す 9つの質問』川上昌直著 日経BP

 

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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