何かをやり遂げるための5つの工夫④
前回は、「何かをやり遂げるための5つの工夫」のうち、「小さな目標を立てる」「目標について他人に話す」の2つを取り上げました。今回は「目標を達成したときのプラス面を考える」について見ていきます。
■目標を達成したときのプラス面を考える
前々回に、成功した自分をイメージすると失敗するということを取り上げました。完璧な世界を夢見ても、気分はよくなるでしょうが、夢を現実に変える力にはなりにくいのです。
しかしながら、目標を達成したときのプラス面を考えることは、完璧な自分を夢想することとは違います。目標を達成したときに、自分の人生にどんないいことが起きるかを客観的・具体的にイメージするのです。
研究によると、成功しなかった人は、失敗した場合に起きる嫌なことばかり考えがちでした。たとえば新しい仕事に就くことのメリットやデメリットを書き出すように言われると、成功した人は今よりやりがいがあって給料もいいと書いたのに対し、成功しなかった人は、失敗したら自分は行き詰まり不幸になると答えました。
成功の具体的なイメージを持てば、よりよい将来を目指して前向きになれるのに対し、失敗の具体的なイメージを持つと、マイナスな出来事や経験ばかりに関心が向けられてしまい、前向きな気持ちになれません。
資格試験勉強をされている方は、資格所得後のメリット、たとえば転職してあこがれの職種に就く、社内の花形部門でバリバリ働く、周囲から一目置かれる、収入が大幅に上がるといったことを強烈にイメージするとよいと思います。
■ただのノー天気では目標を達成できない
このように悲観的よりも楽観的なほうが良いのは、感覚的にも理解しやすいでしょうが、単なるノー天気も困ります。「いつかやるさ」「後からでも間に合うだろう」では、目標は達成できません。
本ブログの「ポジティブは良いことか?②」でも取り上げましたが、実は「自分の能力には自信があるが将来については少々自信がない」というタイプ(防衛的悲観主義者)が最もパフォーマンスがよいのです。これから起こることに対してネガティブに考え、「最悪な事態」をあらゆる角度から悲観的に想像しては不安になるわけですが、その不安を解消すべく用意周到に準備し、全力で仕事をすることで上手く乗り切るからです。
「自分にはやりきる力があるが、どうすればやりきれるかは慎重に考える」というのがベストということですね。
【参考】
『その科学が成功を決める』リチャード
ワイズマン著 文藝春秋
『モチベーションの新法則』榎本博明著 日本経済新聞出版社