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女性管理職登用のあり方②

前回、ノルウェーを例に、女性取締役比率の上昇は企業価値を低下させることを示唆する(女性取締役を10%増加させた場合、企業価値は12.4%低下する)ことを取り上げました。今回は、その理由について取り上げます。

 

 

■単なる数値目標では逆効果

 

前回触れたように、ノルウェーでは、女性取締役比率が2008年までに40%に満たない企業を解散させるという法律が可決されました。その結果、女性取締役比率が低い企業は、急いで女性を取締役に引き上げる必要に迫られました。

 

この期間に新しく取締役に就任した女性は、もともとの取締役よりも年齢が若く、他社での取締役経験もなく、他業種から参入した人が多いことが分かりました。それだけではなく、もともと取締役だった人と「同じ姓」の人が多いことも判明しました。つまり、もともと取締役だった人の妻や娘というわけです。

 

政府による女性取締役比率の数値目標が課された結果、ノルウェーの企業の多くは、経験が浅く、経営者の資質に欠ける女性を無理やり取締役にして急場をしのいだのです。このことが企業価値を毀損することにつながったと考えられます。

 

 

■資質がある女性の数を増やす

 

誤解がないように言っておくと、女性を管理職や取締役にしても無駄だということではありません。国の経済や企業の業績を浮揚させるためには女性の活躍が必要だということは言うまでもありません。私も中小企業診断士受験のためのガイダンスでは、「世の中の少なくても半分の商売は女性を相手にしているのだから、女性は診断士としての価値がある」と申し上げています。特に消費財分野は女性のほうが適性があるというようにも感じています。

 

問題なのは一律に女性管理職の数値目標を定めてその実現を迫るということです。これまで見てきたように、かえって逆効果になる可能性があります。

 

男性のほうが優秀だということではなく、前回、自民党女性議員についても触れたように、企業も自治体もなんといっても女性有資格者の絶対数が少ないように感じます。日本の場合、まだまだ女性不利な仕事環境であることは間違えないでしょうから、それを改善しつつ有資格者を増やしていくという時間がかかる地道な取り組みが必要なのではないでしょうか。

 

また中途半端に女性管理職を増やしても、彼女らが孤立するだけであまり効果がないことも知られています(これについては、本ブログの「なぜダイバーシティーは上手くいかないか?」を参照下さい)。ダイバーシティーといった言葉だけが独り歩きし、実効性が伴わない空疎な議論が多いような気がします。

 

 

【参考】

『「原因と結果」の経済学』中室牧子、津川友介著 ダイヤモンド社

 

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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