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時間的欠乏の影響

■何かをやりとげるためには、期限を設ける

 

「何かをやりとげるためには、期限を設けることが大事である」とは、よく言われていることです。期限があるからこそ、努力や意識を集中させることができるからです。

 

私は中小企業診断士試験対策の講義を担当していますが、受講生の方にとって一番大事なことは「1年間で合格する」という意思だと考えています。資格試験には、明確な期限がありませんから、自分で期限を設けないと、だらだらとやってしまうことになりかねないからです。

 

みなさんも新入社員時代に先輩や上司から、仕事に締切りを設けるよう言われた経験があると思います。締切りがないと、結局やろうとしなくなるからです。私も客先から納期が示されない場合であっても、自分から納期を提示するようにしています(といっても後からやっぱり延期をお願いすることが多いのですが・・・)。

 

 

■クーポンには必ず期限を設ける

 

「期限を設ける」ということは、自ら「時間的な欠乏(不足)状態」を作るということを意味します。私たち人間は、何らかの欠乏があると、それによって行動が支配されます。たとえば、食料がなく空腹なら、食べることばかりに頭が支配されるでしょう。ある仕事の期限が迫っているならば、他のことを考えている余裕はなくなります。

 

あるマーケティング実験を紹介してみます。部の顧客には有効期限付きのクーポンを送り、その他の顧客には期限なしのクーポンを送りました。結果は、期限のないクーポンのほうが時間的な利便性が高いにもかかわらず、使われる確率は低かったのです。使用できる時間がいくらでもあるとクーポンは注目を引かず忘れられてしまうのです。申し込みの時期やセール期間を区切ってあるダイレクトメールをよく目にしますが、これはわざと消費者側に時間的欠乏を作ることで関心を高める行為であることがわかります。

 

 

■トンネリングの罠

 

このように欠乏感から来る視野狭窄をトンネリングといったりします。あたかもトンネルの中にいて周りが見えなくなるからです。ある1つのことに集中しすぎてしまう結果、その他のことが不注意になり、問題が生じる可能性があります。待ち合わせの時間に間に合うことだけに集中しすぎて、忘れ物をしてしまうといったことなど例は沢山あるでしょう。

 

トンネリングに陥らないためには、結局は心理的な余裕を持たせるしかありません。いろいろな仕事に追われ、納期が迫っている順に片付けていくということが多いと思いますが、どこかのタイミングで一気に片付けて体制を立て直す必要があるでしょう。

 

しかしながら実際にはそうもいかず、何とかやりくりしなければならないということが多いと思います。その場合には、「TO-DOリスト」を書いておくとよいと思います。やることが整理されているのとされていないのとでは、心理的な不安感が違いますし、1つのことに集中していても、他のことを忘れてしまうことを防げるからです。

 

【参考】

『いつも「時間がない」あなたに: 欠乏の行動経済学』センディル ムッライナタン、エルダー シャフィール著 早川書房

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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