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法人税引き下げは景気を引き上げるか?

■法人税引き下げは世界的な潮流

 

アメリカ議会下院で20日、税制改革法案が可決しました。すでに上院でも可決されており、法人税率が35%から21%に引き下げられることがほぼ確実となりました。

 

日本の国・地方を合わせた法人実効税率を現行の29.97%です。日本の法人税率は極端に高いように報道されていますが、フランス(約33%)、ドイツ(約30%)よりも低く、カナダ、イタリアなどよりも高いだけで、極端に高いというわけではありません。

 

ただし、フランス(33%から25%)やイギリス(19%から17%)は法人税を引き下げる方針を示しており、引き下げは世界的な潮流と見ていいでしょう。

 

 

■法人税を引き下げても景気が良くなるわけではない

 

「法人税率が高いままだと、世界的に見て日本企業は大きなハンディキャップを負ってしまう」であるとか、「法人税率を引き下げれば企業は設備投資を活発に行って景気が良くなる」といった議論があります。経営者や会計士・税理士などの方々に多い意見です。「法人税引下げで企業が自由に使えるお金が増えれば、それだけ賃金や設備投資が増えて景気が良くなる」というわけです。

 

しかしながら法人税引下げと景気(GDP成長率)との関係は不確かで、法人税を引き下げれば景気が良くなるという確かなエビデンスはありません。

082.gif (出典:財務省)

 

日本では1990年頃から段階的に法人税を引き下げてきましたが、その間、失われた20年があり、一時期を除いて景気がよくなったわけではありません。当たり前ですが、景気上昇の最大要因は財政政策や金融政策といった安定化政策です。

 

一部を除く日本の経済学者は法人税引下げに前向きですが、アメリカでは、ポール・クルーグマン(ノーベル経済学賞受賞)やラリー・サマーズ(元財務長官)らリベラル寄りの経済学者らは、景気への効果は限定的だとして否定的な立場です。

 

また法人税が高いと日本企業が海外に流出するという声もありますが、一部の企業を除けば、そんな国民の風当たりが強いことをするとは考えにくいものがあります。

 

 

■法人税引き下げと消費税引き上げはバーター

 

日本でも法人税引き下げの方向性は決まっていますが、そのバーターとして消費税率の引き上げがあります。経団連の榊原会長がたびたび消費税の引き上げについて言及していることの背景には、法人税を引き下げてほしい財界の思惑があるように思えます。

 

メディアの報道を見ても、「日本は法人税が高く企業の競争力を阻害している」という論調が目立ちますが、法人税引下げとバーターで消費税を引き上げたい財務省の思惑どおり報道しているとしか思えません。

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
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