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根拠は多ければよいわけではない

■根拠の数は多いほどよいわけではない

一般的に提示する根拠の数が多いほど、主張の説得力は増すと考えられていますが、かえって説得力を失う場合があります。次の例を考えてみましょう。

結論:捕鯨はやめるべきである。
根拠1:鯨は高度の知能をもった高等な哺乳類である。
根拠2:欧米の動物愛護団体の反発を招き、大規模な日本製品の不買運動が展開される必要がある。



根拠1では、「高等な哺乳類は食してはいけない」という本質論ですが、根拠2では、鯨の話など一切出てきません。単に商業捕鯨再開が招きかねない経済的制裁を憂慮しているにすぎません。よって、もし捕鯨再開でも何の反発もなければ鯨などいくら獲ってもよいというということになります。つまり根拠2を付け足すことでかえって、結論の説得力が失われてしまうのです。


もう1つ例を見てみましょう。

結論;総理大臣の靖国神社参拝に反対である。
根拠1:憲法で規定した政教分離に反する。
根拠2:中国などの反発を招き、経済関係が損なわれる。



これも根拠1が本質論であるのに対し、根拠2では都合だけが話題になっています。諸外国の反発さえなければいくらでも参拝してよいということになります。


■根拠選択は慎重に

人の主張を聞いていると、本質的な根拠と都合による根拠を並列するケースが多いです。往々にして都合のほうが本音だと思いますが、相手の主張の背景にあるものを把握することで、こちらも準備することができます。

逆に、自分が主張する場合でも、根拠の提示がいまいちで、根拠間の整合性をとらないと、相手に見透かされてしまうことになります。
都合優先ということも場合によってはありだと思いますが、少なくとも「本質論でいくべきか」「都合でいくべきか」明確にしたほうが、相手に訴える力が増すでしょう。


【参考】
『論より詭弁~反論理的思考のすすめ』香西秀信著 光文社
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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
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