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選択肢が増えると楽しみが減る③

前回は、候補となる選択肢が多ければ多いほど、心理的な機会費用も大きく感じることになり、最終的に選んだ選択肢の満足度も下がってしまうということについて触れました。

 

すべてにおいて優れた選択肢がない以上、何かを選択するということは何かを犠牲にするというトレードオフに直面します。そしてトレードオフに直面すると人は選択すること自体を拒否するか先延ばしするようになります。

 

 

■2番目の選択肢があると選択することが難しくなる?

 

少し古い実験をご紹介します。CDプレイヤーが欲しい人を対象にしたもので、次の3つのパターンが設定されています。

 

<パターン①>

ソニー(一流ブランド)の人気モデルが大幅値引きでわずか99ドルで売られている。                                                                                                        

<パターン②>

99ドルのソニー(一流ブランド)の人気モデルとアイワ(過去あった日本のオーディオブランド、どちらかというと2流ブランド。2015年にアメリカで復活)の最新モデルが大幅値引きで169ドルが売られている。

 

被験者へヒアリングしたところ、パターン①(選択肢がソニーの商品だけ)では、66%がソニー商品を購入し、34%がすぐに購入しないと回答しました。パターン②(ソニーとアイワの2つの選択肢がある)では、ソニーの商品を購入するのが27%、アイワの商品を購入するのが27%、すぐに買わないのが46%という回答結果になりました。

 

つまり魅力的な選択肢が1つなら3分の2が喜んでそれを選ぶが、魅力的な選択肢が2つになると購入するのは半分をわずかに上回る程度になってしまったのです。第2番目の選択肢の登場は、葛藤の原因となり、選択することを困難にさせたのです。

 

 

■見せ玉の選択肢は判断をしやすくする

 

それではもう1つのパターンをみてみましょう。

 

<パターン③>

1日限りのセールで、ソニーの人気モデルが99ドル、アイワの旧型モデルが定価の105ドルで売られている。

 

売られている商品がソニーモデルだけの場合は、ソニー商品を購入する割合が66%であるのに対し、パターン③のケースでは73%になりました。つまり明らかに劣った選択肢が提示されたことで、消費者の比較判断がしやすくなったことになります。

 

以上から、選択肢が多くなり、かつトレードオフが生じる場合は判断が困難になり決定を先延ばしするようになりますが、トレードオフが生じないような場合はむしろ判断をしやすくし、決定を促すことになります。選択肢が1つの場合は、その中間になります。

 

スリープライスなどの価格設定は、この原理を使っていると考えられます。また上司や顧客に提案する際にも、自分の本命案のほかに見せ玉の駄目な案を用意しておくとよいかもしれません。

 

不動産業者は。最初にわざと駄目な物件に案内して、それから自分が売りたい物件を見せるとよくいいますが、これも選択肢を上手く使った例でしょう。

 

 

【参考】
『購買選択の心理学』バリー・シュワルツ著 ダイレクト出版

 

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
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