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リニア談合疑惑をゲーム理論で考える

リニア中央新幹線の建設工事を巡るゼネコン大手4社への東京地検特捜部などの調べに対し、まず大林組が談合を認め、その後に清水建設が続く形となり、談合を否認する鹿島建設、大成建設とで対応が分かれています。

 

 

■囚人のジレンマゲーム

 

今回の疑惑についてはゼネコン側にも同情の声があり、真相がよくわからない面もあります。ちょうど講義でゲーム理論の囚人のジレンマを扱っており、今回のケースは格好のネタです。

 

囚人のジレンマについては、以前、このブログでも取り上げましたが、再掲します。共犯の疑いで捕まった囚人Aと囚人Bが独居房にそれぞれ入れられており、捜査官の取り調べを受けています。

談合のジレンマ 図の見方は、(囚人Aの利得:囚人Bの利得)です。たとえば囚人ABともに黙秘すれば互いに刑期は1年で済みます(刑期はマイナスの利得なのでマイナス表示にしています)。しかし片方が裏切って自白をすれば、裏切ったほうは司法取引でお咎めなしですが、黙秘を貫いたほうは刑期が3年になります。両方黙秘をとおせば、互いに刑期は2年です。

 

囚人Aは囚人Bの行動が分からずに自分の利得を考えて行動するとしたら、自白を選ぶことになります。なぜなら囚人Bが黙秘する場合も自白する場合も囚人Bにとっては自白するほうが刑期が軽くて済むからです。

 

ちなみの囚人Bも同じ理由で自白を選ぶことになり、両人とも刑期2年に服すことになります。しかしながらお互い協調して黙秘すれば刑期は1年で済みますから、囚人にとっては良い結果ではありません。

 

このように非協調な行動の結果、協調した場合よりも利益が下がってしまうことを囚人のジレンマといいます。囚人のジレンマゲームの面白いところは、自らの利益の最大化を図るという合理的な判断が、結果的には低い利益になってしまうということです。

 

 

■談合疑惑での特捜の攻め方

 

今回の疑惑の場合、囚人Aを大林組、囚人Bをその他のゼネコンとすると大林組の行動を理解することができます。ここからは想像ですが、当初、ゼネコン4社では話し合いは情報交換であるという主張を通すことで一致していたはずです。それにもかかわらず、大林組が真っ先に東京地検の軍門に下ったので、残り3社としては怒り心頭といったところでしょう。しかし協調が崩れたと判断した清水建設がその後、続いて恭順に廻ったことで、ゼネコン側の当初の方針は崩れてしまったと考えられると思います。残った2社としても否認を続けていれば損するだけですから、談合だったかどうか事実はともかく、やがて東京地検の軍門に下るのではないでしょうか。

 

これまでも談合事件は多々ありましたが、地検特捜部の攻め方は、まず1社の切り崩しにかかることだといわれます。すなわち「今のうちに、おたくが自白すれば悪いようにしない」というわけです。今回のケースでも後から工事調整に加わった大林組にはそのようなアプローチがあったともいわれています。

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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