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財務省の文書改ざん問題にみる組織病理

今日、財務大臣の麻生太郎氏が森友学園問題における財務省理財局の文書書き換えを認め、大きく報道されています。

いずれは公文書の書き換えは刑事責任を問われかねない重大問題であり、なぜそのようなハイリスクなことを行ったのか驚きを感じ得ません。

メディアからは財務省の体質についての批判が高まっていますが、私としては今回の騒動はどの組織でもある典型的な集団浅慮の問題に思えます。

 

 

■集団は本来的に浅はかである。

 

このブログでもちょくちょく取り上げていますが、集団浅慮(グループシンク)とは、文字どおり、集団の意思決定は浅はかなもの(ハイリスクなもの)になりがちだという集団特性をいいます。

 

集団浅慮に至る条件としては、次のことが挙げられます。

 

A1:集団の凝集性が高いこと
凝集性とは「まとまりのよさ」のことです。まとまりがよいのはいいことなのですが、その一方で、集団独自の文化や規範(ルール)が生まれることになります。

B1
:組織構造的な欠陥があること
具体的には、「集団が外部から隔絶していること」「偏ったリーダーが率いていること」「意思決定についてきちんとした手続きがないこと」「集団内のメンバーの同質性が高いこと(似た寄った経歴やイデオロギーを持っていること)」です。

B2
:刺激となる状況要因が存在すること
外部からの明白な脅威が存在したり、最近、その集団が明らかな失敗を起こしているといったことです。

 

 

■財務省は集団浅慮の条件にぴったり?

 

財務省キャリア組は難関の国家公務員試験を突破し、さらにその上位者が採用されることはご存知のとおりです。近年の採用状況は東大法学部卒が全体の3分の1、東大卒が過半数といったところです。以前はもっと東大色が強かったでしょう。また(競争はあるものの)キャリアコースも決まっていて中途採用もなく、基本的には閉鎖した組織といえるでしょう。さらに入省年次の上下関係は絶対だといいます。

 

よって、組織の同質性は極めて高く、外部から隔絶していることは容易に想像できます。またエリート意識から官僚の無謬性(誤りはない)にとらわれがちということはよくいわれます。

 

私自身は、当初から、森友学園問題は財務省近畿財務局の失態が原因だと考えていました。今回の件も、今のところ、理財局の独走レベルだと考えています、なぜなら他の局長やその上の事務次官が自分にはまったく関係がなくハイリスクしかないことに加担するとは思えないからです。

 

いずれにせよ、昨年2月からの問題発覚以来、理財局としては批判にさらされてきましたので、理財局としては明白な脅威を感じていたことは間違えないでしょう。

 

さらに、集団での意思決定について、メンバーは個人としての明確な責任を意識しなくなります(赤信号、みんなで渡れば怖くない)。仮に佐川前局長や理財局幹部数人が書き換えを決め、それを末端に指示する過程で「みんなで決めている」という安心感がハイリスクな行動につながったと考えられるのではないでしょうか。

 

つまり集団浅慮に至る条件は、ひととおり揃っていたことになります。

 

集団浅慮はたとえば粉飾を行った企業でも見られます。財務省特有の体質ととらえるのでなく、どのような組織でも起きえることを意識したいところです。

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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