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破綻する日銀のコミットメント①

■物価上昇目標の達成時期が削除される

黒田日銀総裁2期目がスタートし、新しい体制での初回の金融政策決定会合が427日に開かれました。現在の金融緩和は維持する一方で、これまで2019年度としていた物価上昇率目標2%の達成時期が削除されました。

 

日銀は201344日の黒田体制1期目の初回会合で「量的・質的金融緩和」を導入するとともに、物価安定目標の2%(消費者物価の前年比上昇率2%)を「2年」を念頭にできるだけ早期に達成するとしていました。

 

2013年度は順調に上昇していた消費者物価指数(コアCPI)も、消費増税の影響により大きく低下し、その間に達成時期は6回も延長されることになりました。

 

ちなみに20183月の消費者物価指数(前年同月比)は、総合:1.1%、生鮮食品を除く総合(コアCPI):0.9%、生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI):0.5%であり、2%には程遠い状態です。

 

 

■アベノミクスのねらいは何だったか?

 

アベノミクスの経済政策の基本は、緩やかなインフレ状態を目指すリフレーション政策です。

 

リフレーション政策とは、ケインズ型の総需要重視政策に、フィッシャー流の期待(予想)の効果を加えたものと理解されます。

 

後者は、人々が今後物価が上昇する(≒景気が良くなる)と考えれば、そのうち実際の物価も上昇に転じるという考え方です。人々は今後物価が上昇すると予想すれば、高くなる前にモノを買おうとするので、実需が上昇し、実際に物価が上がるというわけです。

 

人々が予想する今後の物価の上昇率を、期待(予想)インフレ率といい、期待インフレ率の上昇の半年から1年後に実際の物価上昇率も上昇することが統計的に確認されています。

 

ちなみに経済学のテキストでは、「実質利子率=名目利子率-期待インフレ率」(フィッシャー方程式)という形で紹介されますが、実際にはブレークイーブン・インフレ率(BEI)で算出され、「10年利付国債複利利回り(名目イールド)-10年物価連動国債複利利回り」で求められます。

 

4月時点でのブレークイーブン・インフレ率は0.594%ですから、実際の物価上昇率が2019年中に2%にまで達する見込みはほとんどないといえます。その意味で今回の金融政策決定会合で達成時期を削除したのは当然だし、金融緩和が維持されるのであれば大勢に影響がないという意見の方も多いと思います。

 

しかしこの達成時期の削除は、経済政策的には大きな意味を持つのです。

(つづく)

 

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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