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加入儀式の効果①

日大アメフト部の悪質な販促問題が連日、メディアを賑わしています。部活というと、まず思い浮かぶのが理不尽な加入儀式です。部活に限らず、会社、宗教団体、政治団体には必ずと言ってよいほど加入儀式があります。中にはそれがあまりに理不尽で非常識なものもありますが、そうであるほど組織メンバーの忠誠心は厚いように思えます。

 

 

■加入儀式の効果

 

心理学者のアロンソンとミルズの実験を紹介します。

 

彼らは学生たちを2つのグループに分け、「性の心理学」に関する特別な討論会への参加を与えると告げた。ただし、討論会に参加するためには、加入儀式を受けなければならない。

 

1つめのグループに課された儀式は、官能小説のセックスシーンを読み上げるという、学生にとって非常に恥ずかしいものであった。もう一方のグループの儀式は、辞書に載っている程度の性的な単語を読み上げるだけという軽めのものであった。その後、学生たちは討論会に参加し、そこでは事前に行われた討論の録音テープが流された。

 

この録音テープには仕掛けがあり、意図的に退屈な内容にしてあった。鳥の第2次性徴(オスに特徴的な羽や色)についてのダラダラした討論で、発言者は議題に関する下調べをしておらず、話し始めても途中で終わることが続いた。あまりのつまらなさで、普通なら参加したことを後悔するレベルだ。

 

テープが終わると、学生たちは討論の感想を聞かれた。まずさほど恥かしくない加入儀式を受けたグループは、「つまらなかった」「無責任だ」「発言者は準備くらいしろ」などと否定的な意見が相次いだ。

 

一方、非常に恥ずかしい儀式を受けたグループは、討論は刺激的で興味深いと評価した。発言者全体についても知的で感じがよいという印象を持ち、無責任なメンバーにも「予習をしてこなかったことを認めるとは正直だ」という肯定的な評価をした。

 

 

■加入が難しいほどコミットメントが高まる

両者の違いは加入儀式の過酷さです。過酷な(非常に恥ずかしい思いをした)グループは、それまでして参加した討論会がバカみたいにつまらなくてもそれを認めるわけにはいかなくなります。討論会への参加は意味がなかったと認めることは、「自分が愚かだった」と認めることになるからです。

 

このように加入儀式は人のあることへのコミットメントを強めることになります。クラブの入部、宗教的儀式、入社の儀式には、メンバーの組織へのコミットメントを高めるという狙いがあります。そしてそれが過酷で理不尽であるほど、効果があるのです。

 

そのことは自体は必ずしも間違ったことではありませんが、実験のように誤りを認めないということになればおおいに問題です。

 

【参考】

『失敗の科学』マシュー・サイド著 ディスカヴァー・トゥエンティワン

 

 

 

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
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