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韓国経済に見る左翼的経済政策の効果

日本の左翼政党の経済政策の主張は、「金融緩和反対」「企業より労働者・消費者優遇」です。経済政策の効果を検証するには、「川を上り、海を渡る(過去や海外の事例を検証する)」ことが最もよいでしょう。

今回は、エコノミストの安達誠司氏による韓国経済の分析を使いながら、リベラル経済政策の効果を検証してみたいと思います。安達氏は、トランプ政権後のアメリカ経済の予測、BREXIT後のイギリス経済の予測、今年初頭の2回の株価クラッシュ、日本の物価推移の予測を的確に当て、個人的には最も信頼感のあるエコノミストです。

 

 

■文政権の経済政策

 

ご存知のとおり、韓国の文在寅政権はかなりリベラル寄りの政権で、経済政策を財閥優遇から、労働者に直接恩恵をもたらす政策に舵を切りました。目玉は次の3つです。

 

1)福祉・雇用に財政支出を傾斜配分(2018年度予算15兆ウォンのうち4割程度を配分)

2)公務員数の増加(5年で81万人の雇用増が目標)

3)最低賃金の引き上げ(2020年までに1万ウォンまで引き上げる)

 

韓国の1~3月期の実質国内総生産(GDP)は前期比1.0%増加していますが、内容は半導体関連の輸出とそれに伴う設備投資のみに頼った形であり、国内消費は低調なままで、総じてよくない状態です。

 

 

■裏目に出た雇用・福祉政策

 

韓国では、不況期の景気下支えを主に公共投資によって行ってきましたが、文政権ではこれを一気に削減し、雇用・福祉関連支出への配分が大幅に拡大されました。またそれまでは概ね7%程度の増加であった最低賃金を、2018年には前年比+16.4%の大幅に引き上げ、今後も目標である1万ウォンを目指して同程度の引き上げが予想されます。また同時に法人税の22%から25%への引き上げや、週労働時間の短縮の要請も行っています。

 

その結果、どうなったか?韓国の3月の完全失業率は4.0%と上昇し、雇用環境は悪化しています(4%という失業率はリーマンショック後も1回つけただけ)。特に、15歳から29歳までの若年失業率は9.7%にも上っています。人件費の上昇により、企業が採用を抑制し始めたのです。

 

 

■緊縮に向かう韓国の金融政策

 

韓国の中央銀行(Bank of Korea)は、昨年11月に利上げを行い(1.25%→1.50%)、金融政策は緊縮気味です。その結果、韓国の通貨ウォンは、対ドルで5%強も上昇しました。

 

韓国は輸出主導の経済構造です。輸出依存度はGDP比で55%弱であり(日本は15%弱)、通貨高は経済にモロに影響を与えます。

 

緊縮気味の金融政策は、先に述べた雇用・福祉重視政策と相まり、財閥企業の海外移転(国内空洞化)を促しており、雇用環境は、今後、ますます悪化することが予想されます。

 

 

■全体のパイを増やすことは考えない愚かさ

 

文政権と日本の左翼政党・メディアと共通しているのが、理念先行で、実際の経済の波及経路や効果などの検証がほとんどないということです。また、マクロ経済をどうもミクロ的な視点でのみ語り、「労働者の利益を上げるためには企業から奪ってくるしかない」という視野狭窄を起こしています。

 

マクロ経済は、「まず全体のパイ(GDP)を増やしてから、次に分配(企業、労働者、政府)を考える」というのが基本ですが、個々のプレイヤーの分配のみを考えているので、結果的に全体のパイが縮小するという愚を犯しているのです。

 

 

【参考】

現代ビジネス20180531『韓国政府の「誤った経済政策と景気停滞」が日本に教えてくれること』安達誠司

 

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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