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情報の非対称性③(企業の理想的な採用活動)

前回、情報の非対称性が存在する場合の対応として、自己選択メカニズム((情報を持つ側に、自ら情報を開示するような行動をとるように仕向ける仕組み)を取り上げました。

情報の非対称性の例としては、労働市場があります。今回は、労働市場における自己選択メカニズムについて取り上げます。

 

 

■採用過程は自己選択メカニズム

 

雇う側(企業)と求職者(労働者)側には、大きな情報の非対称性が存在します。労働者は自らの意思や熱意、能力について知っているわけですが、企業側はそれらを知りません。企業側はどうすれば自社にふさわしい能力や熱意を持った人間を採用することができるでしょうか。

 

一般的に行われる採用活動では、まずエントリーシートを提出させ、数回の面接を経て採用に至ります。これは採用側が複数の目で応募者の能力や入社意欲を探るということ以外に、応募者が採用過程を通過するための手間ヒマを惜しまないか試すねらいがあります。

 

入社意欲が高い人なら、採用に至るまでの段階が多くても、それを乗り越えようとするでしょうし、逆に入社意欲が低い人はそれだけの手間暇はかけようとせず、勝手に途中で脱落するはずです。

 

 

■熱意と能力がある人だけに応募してもらう

 

つまり、企業の採用過程は、労働市場における自己選択メカニズムとして機能しているわけです。

 

現在、完全失業率は2.4%(6月)と歴史的にみても低水準で、小売や飲食など一部の業種では人手不足感がでています。よく「経験がなくても歓迎」「明るい職場です」「明るい方希望」などといった募集広告を見ますし、採用活動自体が面倒なのか採用過程が簡便なケースも多いように思えます。採用過程における自己選択メカニズムを考えると、適切な内容とは言えないのではないでしょうか?

 

場合によっては応募者が増えるかもしれませんが、結局はすぐやめてしまい、またコストをかけて募集活動を繰り返すという悪循環に陥るハメになるだけです。

 

そうであれば、むしろ採用に至るハードルを高くして、自動的に求職者を振るいにかける(入社意欲が低い人は応募しない)工夫をしたほうがよいのではないでしょうか?たとえば、「当社は○○といった人材を採用する」といったことを明確にしたり、応募にあたって小論文を提出させたりといったことです。

 

企業の人事部門では、例年の応募数をベースに、「今年は応募数何%アップ」といったように、応募数を目標値化する傾向がありますが、はっきりいってナンセンスだと思います。能力も熱意もない応募を集めても意味はないでしょう。

 

仮に1人だけ採用したいなら、究極の理想は、「入社意欲が高くこちらの要件を満たす応募が1人だけの状態」です。人事部門の目的は「必要な人材を確保すること」という点を意識したいところです。

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
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