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「成長戦略は待ったなし」は正しいか?①

アベノミクスに対する批判としては、「金融政策や財政政策は所詮、その場しのぎで副作用が多いからダメ!」派と、「金融政策と財政政策は重要だか、第3の矢(成長戦略)が不十分だ!」派に分かれるようです。

前者は、経済政策の安定化機能を否定する立場と言えそうですが、さすがに実質GDPの上昇(ただし2014年4月の消費税増税前まで)、雇用環境の改善、株価上昇、上場企業の業績好転を受けて、トーンダウン気味で、後者の立場の発言が目立っているように感じます。

いずれにせよ両者で共通しているのは、「成長戦略が日本経済の浮沈を握っている」という認識です。

「成長戦略は待ったなし」という意見は正しいのでしょうか?お断りしておくと、私自身も成長戦略は極めて重要であると認識しています。ただし、まるで成長戦略が喫緊の課題であり、さらにさもすぐにでも効果が見込まれるかのような論調に違和感を覚えるのです。

この話題について考えるには、いくつかの経済学の基本原則を確認する必要があります。

どのような基本書でも大抵は、「市場には需要と供給があり、需要と供給が折り合うところで市場価格(均衡価格)が決まる」という一般原則から始まります。

また「需要>供給(モノ不足)」の場合には、価格が上昇し、「供給>需要(モノ余り)」の場合には、価格が下落します。これについては、特に異論は無いでしょう。さて、このことは市場(ミクロ分野)に限らず、1国全体(マクロ分野)でも言えることです。

ただし市場価格は物価(ある家庭が1年間生活していく上で必要な、さまざまな財・サービスの値段を合計したもの≒価格の加重平均値)に代わります。総需要、総供給、物価の関係は、次のとおりです。

 総需要>総供給 ⇒ 物価上昇(インフレ傾向)
 総供給>総需要 ⇒ 物価下落(デフレ傾向)


「GDP=国内総生産(1国内で生産された付加価値の合計)」ですから、総供給(総生産)以上のGDPは実現しません。

また、この総供給の能力は、潜在GDPと言われます。潜在GDPとは、いわば労働力や資本(機会・設備)といった1国内の生産要素をフル活用した場合に実現できる総供給です。


しかしながら、その一方で、需要がなければ供給は生まれません。なぜなら供給しても売れ残ってしまうからです。よって、実際のGDPは総需要サイドで決まることになります。 

わが国では、1990年代末より「デフレ脱却」が大きな課題となっていますが、その最も単純かつ説得力のある理由は、「総供給>総需要」つまり「需要不足」です。これは「潜在GDP>実際のGDP」と言い換えることができます。

(つづく)
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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
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