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斬新なアイデアを妨げるもの①(機能的固着)

斬新な解決策やイノベーションを発想することはなかなか難しいことです。これは、普段使っているやり方や目的でしか物事をとらえられないからです。斬新な発想を妨げる3つの認知的バイアスについて取り上げます。

 

 

■タイタニック号の乗客をもっと助けるには?

 

タイタニック号の悲劇は映画にもなりましたし、ご存知かと思います。1912年4月14日の夜に氷山にぶつかり、2時間40分後に沈没しました。乗客乗員2200人のうち、救助されたのはわずか705人でした。どうすればもっと多くの人を救うことができたでしょうか?

 

沈没原因となった氷山を、救助策としても利用できることに気が付けば、もしかしたらより多くの人を救えたかもしれません。ぶつかった氷山は、幅が120メートル以上ありました。氷山まで救命ボートで乗客を運べば平らな場所が見つかったかもしれません。また、船はしばらく航行できたため、氷山に接近して乗客を乗り移せたかもしれません。

 

実際にそんなことが可能だったかは検証できませんが、タイタニック号の悲劇の60年前に同様の救助策が効果を上げたケースがあるそうです。いずれにせよ、タイタニック号の場合、災厄をもたらした氷山を救助手段として使うという発想はなされませんでした。

 

 

■これまで慣れ親しんだ方法でしか対象物を見られなくなる

 

斬新な発想を妨げる認知的バイアスには、機能的固着、デザイン固着、目標固着の3つがあります。今回は機能的固着を取り上げます。

 

機能的固着とは、これまで慣れ親しんだ方法でしか対象物を見られなくなるというものです。

 

製品やサービスは、もともとある用途を果たすために開発されたものです。よって、ユーザー側もその当初の用途以外の用途があることに気がつきません。たとえば、時計は「時刻を知るためのもの」、紙おむつは「乳幼児のためのもの」といった具合です。タイタニック号のケースでは、氷山は「事故の原因」としか見られませんでした。

 

なぜ機能的固着が生じるのでしょうか?日常的によく目にする対象物を見ると、人はそれを使う際に重要性の乏しい特性を自動的に排除します。これは、日常生活で脳を効率的に活用するためですが、斬新な発想の際の制約になります。

 

 

■機能的固着を克服するためには

 

機能的固着を克服する方法の1つに、対象物の説明方法を変えるという手があります。

 

この方法では、まず、ある対象物の各構成要素を順番に取り上げて、「もっと細かく分解できるか」「その説明は特定の使用法を意味するか」という2つの問いを投げかけます。

 

その答えのいずれかが「イエス」であれば、最も包括的な言葉で説明できるまで分解を繰り返し、その結果を簡単なツリー構造に図式化します。

 

氷山を包括的に説明すると、「海面に浮かんでおり、その表面は幅60~120Mに及ぶ」となり、人命救助の場となる可能性が浮かびます。

 

ロウソクの説明を構成要素に分けてもっと細かく分解すると、ロウと芯になります。芯を着火の導管としてだけでなく、紐ということに着目して、取り出して何かを縛る道具として使えるかもしれません。

 

機能的固着は視野狭窄によるものですから、もう少し広く視点をとる、また、逆に細かい要素に分解することで要素の新しい発想が浮かぶことができます。

 

 

【参考】

『ダイヤモンドハーバードビジネスレビュー 2016 11 月号 未来をつくる U-40経営者』ダイヤモンド社

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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