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イノベーションのDNA②(質問力)

■質問力

 

ドラッカーは、挑発的な質問の力について、こう記しています。

 

「適切な答えを見つけ出すことよりも、適切な質問を投げかけることが重要であり、また、難しい」

 

イノベーターは、常識にあらがう質問をします。タタグループ会長のラタン・ナバル・タタは、「当たり前のことを疑え」と言っています。

 

マイケル・デルは、デルコンピュータ(デル)を立ち上げるきっかけとなったのは、「コンピュータの価格が部品を合計した金額の5倍もするのはなぜか」と思ったことだと言います。「PCを分解してみたら、合わせて600ドルの値打ちしかない部品の塊が3000ドルで売られていたのです」先の疑問をよくよく考えているうちに、後にデルモデルと呼ばれる革新的なビジネスモデルを思いつきました。

 

 

■イノベーターが実践するうまい質問

 

●「なぜか」「なぜだめなのか」「もし~だったら」と問う

 

大半のマネージャーは、既存のプロセス、すなわち現状を多少改善する方法に目が行き

がちです。たとえば、「コストをあと10%下げるにはどうすればよいか」「日本で売上を伸ばすには何を追加すればよいか」といった具合です。

 

一方、イノベーティブな起業家は、たいてい前提を覆そうとします。たとえば、「製品のサイズや重量を半分にしたら、その製品の提供価値はどうなるだろうか?」といった具合です。

 

クラウドサービスを提供しているセールスフォースドットコムの創業者マーク・ベニオフは、「いまだに昔ながらの方法でソフトをインストールし、アップグレードするのはなぜだろう?いまならインターネットでできるのに・・・」と考えたそうです。

 

●逆を考える

 

トロント大学のロジャー・マーティンは、イノベーティブに考えられる人たちは、「まったく正反対の2つのアイデアを頭の中に浮かべる能力」の持ち主であると述べています。「パニクに陥ることなく、かといって単純に二者択一に落ち着くこともなく、対立するアイデアの両方を総合して、より素晴らしいものを生み出すことができる」

 

ビジネスのイノベーションは、えてしてトレードオフ(一方が立てば一方が立たずの状況)の解消から生まれます。たとえば「高品質と低コストの両立」「早さと丁寧さの両立」といった具合です。しかしなら、私たちはトレードオフを必然だと考えてしまいます。

 

自分自身や他者に対して、まったく異なる代替案を考えてみるように問いかけることで、独創的な知見が生まれてきます。

 

●制約を受け入れる

 

皮肉なことに、素晴らしい質問は、私たちの思考を強く制約し、形破りな洞察を導き出す触媒として作用します。グーグルでは「創造性は制約を欲する」という原則があるそうです。

 

ビジネスにおいては、「現在の主力製品が法律で禁止されたら、来年はどうやって儲けるか」「既存顧客がすべて離反したらどうするか」といったことを考えるとよいかもしれません。

 

また、私たちは惰性やサンクコストの存在で、現状のやり方を続けていることが多くあります。サンクコスト(埋没費用)とは、すでに投資をしてしまい、後から回収できないコストのことです。設備代などの初期投資額が典型的なサンクコストです。「もったいないから捨てられない」というわけです。

 

疑問を感じたら「もしこの設備に投資していなかったら」「もしこの事業を始めていなかったら」「もしこのプロセスを導入していなかったら」果たして同じことをやるか考えてみるとよいでしょう。

 

 

【参考】

『イノベーションのDNA』クレイトン・クリステンセンほか著 翔泳社

『ダイヤモンドハーバードビジネスレビュー 2016 9 月号 イノベーションのジレンマ』ダイヤモンド社

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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