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「成長戦略は待ったなし」は正しいか?③

よく「政府は成長分野に予算を集中投入すべきだ」との主張が聞こえます。成長分野とは、大抵は、農業、医療・介護、環境といった分野です。

しかしながら、「高度経済成長は本当に官僚主導だったのか?」で触れたように、「成長分野など誰にも分からない」というのが実態で、事前に分かるという前提で行われた産業政策のほとんどが失敗したという事実を見なければいけないでしょう。

「○○分野はこれだけの市場規模が見込め、これだけの雇用が生まれる」という予測が経産省やシンクタンクなどから発表されることがありますが、1人あたりの給料を計算すると場合によっては1200万円位となり、だったら「あなたがやればいいじゃないか」なんていう笑い話もあるくらいです。

成長分野が最初から分かっているのなら、とっくに民間が押し寄せているでしょうからね。イノベーションに向けた取り組みの9割以上は失敗であり、ましては1つの産業レベルにまで成長するとなるとせいぜい1000に2、3といったところではないでしょうか。短期的な成果を期待するというのがもともと無理な話なのです。
 
これまでの話をまとめると、経済政策は、

・安定化政策は速やかに行う。特に現在のようにGDPギャップが存在し、実質GDPがマイナス傾向にあり、中国問題などで景気の減速感が強まる中では、総需要を喚起する補正予算や追加金融緩和を検討すべきである。

・成長戦略は、現在、明らかに非効率なものについては(先述の医療問題など)、速やかに処置を講じる。イノベーションについては、規制緩和により民間の市場参加を促す環境を整備し、自由競争の結果、勝ち残ったものを伸ばす。ただし成果はすぐに期待できない。


というのが妥当な判断ではないでしょうか。

そもそも、第1、第2の矢がそれぞれ「金融政策」「財政政策」であるのに対し、第3の矢が「成長戦略」(長期的な方針で成果まで時間がかかる)であることに注意する必要があるでしょう。

さて、『「成長戦略は待ったなし」は正しいか?①』で、浜田宏一内閣官房参与(イェール大学名誉教授)のアベノミクスの評価は、「金融政策はAプラス、財政政策はB、成長戦略はE(ABE)」と紹介しました。「成長戦略:E」の理由は、語呂合わせという以外に、そもそも現時点で評価しようがないが、それなりに努力(effort)している(自民党の選挙地盤である農協の改革など)からだと著書にはあります。
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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
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