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新興国でイノベーションが生まれる理由②

新興国と先進国との「5つのニーズのギャップ」の続きです。

 

持続可能性

 

「途上国では、地球上で最も深刻な持続可能性に対する様々な脅威に直面している」

 

途上国では深刻な環境汚染が進んでいます。よって、途上国は場合によっては先進国より、次世代の環境ソリューションに熱心に取り組む可能性があります。

 

大気汚染が深刻化している中国のほうが、先進国より電気自動車の普及が進むとの指摘もあります。

 

 

規制のギャップ

 

「途上国では規制が未整備なため、企業が市場をもたらす革新的なソリューションに対して、規制が足を引っ張ることは少ない」

 

先進国では、主に消費者保護の観点から、様々な規制があります。かつては有効に機能していた規制も、形骸化し、単に進化の足かせとなっているものも少なくありません。

 

新興国では規制が少ない分、様々な実験的な取り組みが可能です。

 

 

■好みのギャップ

 

「各国で、はっきりとした味覚や好みの違いがある」

 

食文化をとってみても、「なぜ、こんなものを食べようと思うのだろう」と思うことは多々あります。

 

また、色は、国によって意味合いや印象が異なるそうです。赤はロマンスやセックスと関連づけられるのは多くの文化で共通しますが、インドでは純粋さ、中国では幸運、アフリカの一部では死または活力を象徴します。また、緑は西洋人に自然と平穏さを連想させますが、中国では不義や悪魔祓いを意味するそうです。

 

イノベーションにあたっては、こうした各国の違いを考慮しなければなりません。

 

 

■このままでは日本企業はイノベーション競争に負ける?

 

こうしてみると、グローバル競争における日本企業のイノベーション上の制約や弱点が見えてきます。

 

国内の規制が厳しいため、なかなか実験的な取り組みを行うことができません。たとえば自動運転技術やドローンなどです。こうした分野ではすでに日本企業の立ち遅れが指摘されています。

 

また、既存の技術のインフラが過度に進んでいるので、それを捨て去るようなイノベーションにはどうしても抵抗が生じます。埋没費用(使い続ければ無駄ではないが、使わなくなると無駄になるもの)が生じるからです。

 

埋没費用は無視するのが鉄則としかいいようがありませんが、規制は緩和していかないと日本企業にとって命取りになりかねません。

 

【参考】

『リバース・イノベーション』ビジャイ・ゴビンダラジャン、クリス・トリンブル著 ダイヤモンド社

『アテンション』ベン・パー著 飛鳥新社

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
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