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周りの行動で判断する(多元的無知)

■キティ・ジェノヴィーズ事件

 

1964年、ニューヨークのある深夜、自宅アパート前でキティ・ジェノヴィーズが暴漢に襲われた際、彼女の叫び声で付近の住民38人が事件に気づき目撃していたにもかかわらず、誰一人警察に通報せず助けにも入らなかったという事件が起きました。

 

結局、暴漢がその後二度現場に戻り、彼女を傷害・強姦したにもかかわらずその間誰も助けには来ず、彼女は死亡してしまい、当時のマスコミは都会人の冷淡さとしてこの事件を大々的に報道しました。「住民たちはあまりに他人に無関心であった」と。

 

 

■多くの人が気づいたからこそ、誰も行動を起こさない?

 

心理学者のラタネとダーリーは、キティ・ジェノヴィーズ事件に興味を持ち、「多くの人が気づいたからこそ、誰も行動を起こさなかった」と仮説を立て実験を行いました。

 

実験A

仕掛人の学生が、路上でてんかんの発作に見舞われたふりをします。そこを通りかかった被験者が、仕掛人を助けるかどうかを調査しました。

 

被験者が1人だった場合

⇒仕掛人を助けた人は8割以上。

被験者が5人以上のグループだった場合

⇒仕掛人を助けた人は約3割に留まる。

 

実験B

被験者に部屋で作業をしてもらいます。その部屋に煙を流し込みます。

 

被験者が1人だった場合

⇒通報した人は7割以上

被験者が3人だった場合(そのうち2人はサクラで気がつかないフリをする)

⇒通報した人は約1割に留まる

 

 

■不安さから行動を控えてしまう

 

目の前で突然、緊急事態が発生した場合、私たちは本当に緊急事態が発生しているのか確信がもてません。そこで周りの人間の行動に判断基準を求めます。周りの人が誰も反応しなかったら、緊急事態ではないのだろうと認識します(多元的無知)

 

また確信が持てないので、慌てて行動して失敗することを恐れますから、対応にブレーキをかけることになります。

 

さらに集団になると責任が分散されますから、何も自分がやらなくてもいいだろうという気分になります。

 

キティ・ジェノヴィーズ事件で住民たちが誰も彼女を助けなかったのは、「本当に緊急事態なの?」「慌てて助けに行って恥をかくのはヤダな」「誰かが助けにいくだろう」という心理が混ざり合った結果ともいえます。

 

 

■助けを求めたいなら、緊急性と個人指名が基本

 

人間にはこのように集団になると行動に起こせなくなるという傾向があります。

 

あなたが道で暴漢に襲われたら、まず「緊急事態です。助けて!」と緊急性をアピールしましょう。護身術の教室では、「助けて」ではなく「火事だ」と叫べと教えることがあるそうです。注目してもらうためには具体性があったほうがよいというわけです。

 

そして「誰か助けて」ではなく「そこのグレーのスーツの人、助けて」と具体的に名指しして当事者意識を持たせましょう。

 

仕事でも助けを求めたい場合も同じで、緊急性のアピールと個人指名が基本です。

 

 

【参考】

『図解 モチベーション大百科』池田貴将著 サンクチュアリ出版

『アテンション』ベン・パー著 飛鳥新社

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
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