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チャレンジ目標は有効なのか?(ストレッチ目標の条件)③

これまで、業績がよくて余剰資源が豊富な企業ほどストレッチ目標(かなり背伸びしなければ達成困難な目標)が有効に機能することについて述べました。それでは、業績あるいは余剰のいずれかに欠ける企業はどうすればよいでしょうか?

 

 

■小さな現実的な成功を積み上げる

 

こうした企業はストレッチ目標にはそもそも適していませんから、それを追い求めるのではなく、「小さな現実的な成功を積み上げる」ことが基本です。小さな成功を積み上げるうちに、組織内で勢いや活力が生まれ、経営資源が蓄積され、学習が促されます。そうなれば、やがて大胆なストレッチ目標に取り組むことができるでしょう。

 

 

意識的に余剰資源を積み上げる

 

とにかく余剰資源がなければ話になりません。業績不振がつづく企業に変革ができないのは余剰資源がないからです。ただし余剰資源があれば業績不振企業でも変革(ストレッチ目標)を実行できる余地が生まれます。

 

たとえば金融機関からの債務減免、新たな追加融資や、第三者割当増資によって、資金面で余裕が生まれれば、大胆な目標にトライする余地が生まれます。90年代に深刻な経営不振に陥った日産や、日本航空の例なのが挙げられるでしょう。

 

また意識的にノウハウや技術を積み上げるために、短期的な業績を無視して、組織的な学習を促すことも有効です(ただしそれには業績が深刻なまでに悪くないことが条件になりますが)。

 

企業でありがちな誤りは、短期的な成功を追い求めてしまうということです。すぐに成果がでるほどうまい話はそうないのは明らかです。「多くは失敗するだろうが、1つ2つうまくいくものがあれば、長期的な成長の種になる」くらいの考えが大事です。もちろん、何も得ることがないのであれば迅速にやめることです。

 

 

■業績が悪く余剰資源もない場合

 

最後に業績が悪く余剰資源もない企業について、触れてきます。基本的には対応は上で述べたとおりです。ただし気をつけなければならないのは、業績が悪く余剰資源もない企業ほど大胆な(無謀な)挑戦をしがちだということです。

 

2017年にノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンらによる研究では、失敗続きの意思決定者ほど大胆な方策を選択しがちであるといいます。組織行動論の研究でも、リスキーシフトとして、この結果を裏付けています。

 

業績が悪く余剰資源もない企業が大胆なストレッチ目標を掲げがちですが、これまでくり返し述べたように、これほど馬鹿げた話はなく、かえって死期を早めるだけです。まずは現状を認識し、現実的な対応をとることが最重要です。

 

 

【参考】

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー2017年9月号「ストレッチ目標で成功する企業 失敗する企業」

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
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