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生存競争が企業を進化させる(レッドクイーン効果)②

■レッドクイーンによる進化は足かせにもなる

 

前回、厳しい競争環境が企業を進化させるというレッドクイーン理論を取り上げました。しかしながら、レッドクイーンによる進化はマイナスに作用することもあります。それは、「ある領域におけるレッドクイーンによる進化は、その企業が他の領域に進出した際には、むしろ足かせになる」というものです。

 

まずこの話の前提知識として、「知の探索」と「知の深化」の違いがあります。「知の探索」とは、「なるべく現在の自身の認知から離れた遠くの知を探索すること」です。「知の深化」とは、「すでに得た知を深堀りしたり、自分のごく目の前のものだけをサーチすること」です。

 

前回触れたように、同じ産業内の企業間競争では、「いかに相手を上回るか」にだけ焦点が当たり、目の前のライバル企業という限定された範囲でサーチしますから、「知の深化」にあたります。抜きつ抜かれつの競争が激しく展開されるほど、「知の深化」型の進化が進みます。

 

しかしながら、経営環境が激しく変化したり、他の領域に進出した場合、「知の深化」ではもはや対応ができません。これまでとは異なる知識の習得、すなわち「知の探索」が求められるのです。しかしながら、それまでの激しい競争によって「知の深化」を過剰に推し進めてしまった結果、認知の範囲が狭くなり、対応力が失われてしまっているのです。

 

 

■日本企業は過剰な同業者への対抗意識により衰退した?

 

これは日本のエレクトロニクス企業の衰退を説明するのに適しています。前回触れたように、日本の電機産業は激しい国内での競争により進化を遂げ、それが国際競争力につながったのですが、韓国、台湾、中国企業の台頭や、アメリカ発のIT技術の進展という激しい環境変化に対応できませんでした。またガラパゴス化といわれる過剰なまでの国内だけでの技術競争も指摘されました。その理由の1つには、レッドクイーンによる過剰なまでの国内ライバル企業同士の争いが視野狭窄に陥らせたことがあるのです。

 

レッドクイーン理論が示唆するのは、環境変化が激しいほど、同業他社に競争的になってはならず、むしろ視野を広げて変化の方向を見定めよということです。

 

 

【参考】

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー2017年7月号「世界標準の経営理論

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
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