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集団浅慮を回避するためには①

集団浅慮(集団による浅はかな意思決定)を回避して、集団での意思決定をよりよくするためには、どうすればよいでしょうか。基本的には集団浅慮に至る原因を無くせばよいわけで、一般的に次のようなことが指摘されています。

・リーダーは自分の意見を最後に言う。
・できるだけ多くの多様な意見を活発に議論する。
・いくつかの小グループに分けて議論する。
・外部の信頼できる機関に相談する。
・外部の専門家に議論に加わってもらう。
・悪魔の代弁者(意識的に反対意見を言う役目)を設ける。
・結論が出た後にもう一度それに至ったプロセスを全員で見直す。


基本的には「集団の智恵を引き出すための前提条件」で挙げた、「意見の多様性」「独立性」「分散性」「集約性」と同じ趣旨ですが、いくつか補足しておきます。

「いくつかの小グループに分けて議論する。」というのは、ディベートの下地を作るということにかかわります。全体で決めるとなると、その空気感から個々のメンバーの独立性が損なわれ、1つの結論に流されがちになります。小グループに分ければ、個々のグループで意見に差異があるでしょうから、グループ感で議論が促されるということです。

また集団での意思決定では、「社会的怠惰(結果責任はグループ全員に分散されるので、1人1人はさほど真剣に議論しなくなる)」という問題もありますが、小さなグループに分けるとなると、メンバーはただの傍観者ではいられなくなるという雰囲気づくりもできるでしょう。

さらに、たとえば「Aグループは推進の立場で、Bグループは反対の立場で意見をまとめるように」といった役割分担を与えておくと、議論を行い易くなるでしょう。

「社会的怠惰の回避」ということでいうと、できるだけ参加者は少なくしたほうが望ましいです。取締役会のスリム化は、意思決定の迅速化とともに、傍観者の排除というねらいがあります。

また、少なくとも個々のメンバーの発言や賛否については、記録に留めておくことは必要でしょう。

さて「外部の専門家の参画」ということで言いますと、社外取締役が挙げられます。しかしながら、せっかく社外取締役を設置しても、粉飾会計を起こすケースが多々見られます(東芝やエンロンなど)。

月に何度か出社する程度で経営の実態が分からない社外取締役は、そもそも部外者で取締役会では少数派ですから、集団の同調圧力に屈してしまう可能性は否定できません。

また、社外取締役を雇ったのは現経営陣であり、利害関係が一致する場合も少なくありません。だいぶ以前から上場企業になると多くの場合、取引先から社外取締役や社外監査役を招聘していましたが、有効に機能していたという話はあまり聞いたことがありません。単に形式上のものにすぎない場合も多く見られ、社外取締役の意義については認めつつも、そのありかたについては一考する必要はありそうです。

「外部の信頼できる機関に相談する。」というのも同じです。コンサルタント業界ではよく言われることですが、「果たして多額のコンサルフィーを出してくれるクライアントに楯突くことができるのか」という問題は残ります。

当たり前ではありますが、まずは社内の自助努力が前提で、外部はそれを補完する役割に過ぎないということを認識すべきでしょう。(つづく)

【参考】
「経営意思決定の原点」清水勝彦著 日経BP社
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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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