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順番が遅いほうが有利なとき

前回は「順番が早いほうが有利なとき」を紹介しましたが、今回は、「順番が遅いほうが有利なとき」を紹介します。

 

■自分がデフォルトの選択である場合

 

自分がデフォルトの選択(現状の選択肢)である場合、遅いほうが有利に働きます(現状の選択肢であるあなたを変えたがらない)。

 

これは時間が経つにつれ、意思決定者は関心や気力を失っていくことで、現状の選択肢をわざわざ変えたがらないことによります。

 

たとえば半年後に完了しなければいけない案件がクライアントに生じ、業者の選定に入ったとしましょう。あなたはこのクライアントと長年の取引があるとします。クライアント側は最初のうちは他の業者も検討するでしょうが、時間が経つにつれ、期限も迫り、もはや既存業者であるあなたを変えようとは思わなくなるでしょう。

 

余談ですが、裁判官は午前よりも、夕方の方が圧倒的に仮釈放の決定を出さなくなるそうです。この場合、デフォルトは「仮釈放しない」です。気力がある午前中や、休憩後で回復した午後の早い段階では現状を変える「仮釈放を許可する」決定に躊躇しませんが、疲れてくる夕方になると現状肯定(仮釈放しない)を選ぶからです。

 

 

■競争相手が大勢いる場合

 

競争相手が大勢いる場合(優秀な競争相手という意味ではなく、とにかく人数が沢山いる場合)、順番が遅いほうが少し有利になり、最後なら非常に有利になります。

 

8カ国で1500人を超える若手アイドルのパフォーマンスについて研究したところ、最後に歌を披露した歌手のおおよそ90%が次のラウンドに進んだことが判明しました。フィギュアスケートの試合やワインの鑑定会でも同じ傾向が見られます。

 

社会心理学者のガリンスキーとシュバイツァーによれば、競技の開始直後、審判は理想化されたやや現実離れの高い基準を抱いているといいます。競技が進むにつれ、現実的な基準値が彼らの中に出来上がっていきます。それは順番が遅い競技者のほうに有利に働くうえに、順番が遅い者はほかの出場者のパフォーマンスを見られ参考にできるというさらなる強みもあります。

 

 

不確かな環境でパフォーマンスする場合

 

不確かな環境でパフォーマンスする場合、最初でない方が有利です。評価者が何を望んでいるのかわからないなら、先にパフォーマンスする人たちの様子を見ながら、評価者の基準を見極められるからです。

 

 

■競争が激しくない場合

 

競争が激しくなければ、順番が後になるほど、あなたの特徴が際立ち有利になります。心理学者のシモンソンは「レベルの低い志願者が多く、競争が激しくなければ、しんがりは得策である」といいます。

 

これにはピーク・エンド効果も働くと考えられます。ピーク・エンド効果とは、人は自分の過去の経験を「ピーク(最良・最悪)」と「エンド(終わり方)」 によって判断しているというものです。あなたが優秀であれば、順番があとになるほど評価者のエンドでの印象を強く残すことができるでしょう。

 

 

【参考】

When 完璧なタイミングを科学する』ダニエル・ピンク著 講談社

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
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