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物価は人々の予想で決まる②

■インフレ予想に影響を与える要因

 

数式は複雑なため割愛しますが、エコノミストの安達誠司氏によれば、人々のインフレ予想に影響を与える要因としては、金融政策、為替、原油価格、消費税の4つがあります。

 

まずお金の量を増やせばインフレ予想が高まります。為替が円安になると円建ての輸入物価が上がり、人々はインフレを予想します。程度の問題はありますが、原油価格高も同様に作用します。消費増税は消費抑制を通じてデフレ予想を高めます。

 

アベノミクス開始時点からみると、2013年4月の量的金融緩和以降、デフレからインフレへのレジーム転換が起きました。2014年の消費増税によりインフレレジーム確率が低下したものの、同年10月末の追加緩和により回復しています。

 

2016年4~6月期以降の低下は、円高と原油価格の急落によるものと考えられます。ただその後のアメリカ・トランプ政権の誕生による円安と原油価格の下げ止まりにより、インフレレジームに回帰しており、現在では60%程度と推計され、かろうじてインフレ予想が上回っていると推察されます。

 

■やっぱり今年も物価は上がらない?

 

では、2019年のインフレ予想(その結果としての実際のインフレ率)はどうなるでしょうか。結論から言えば、見通しは暗いように思えます。

 

まず金融緩和ですが、2018年4月の金融政策決定会合で、日銀がこれまで2019年度としていた物価上昇率目標2%の達成時期が削除され、実際の金融緩和のペースも鈍化しています。

 

次に為替は通貨量によって決まる部分が大きいですが、金融緩和ペースが鈍化していることから大幅に円安になるとは考えにくいでしょう。さらに世界規模で経済ショックが生じリスクオフ局面になると急激な円高になる傾向がありますが(近年ではリーマンショック、欧州債務危機、Brexit)、その可能性が完全には排除できません(例えばハードBrexit、中国経済)。

 

最も影響が大きいのは消費増税でしょう。仮に延期したとしても、根強いデフレマインドを払拭するには至らないでしょうが、予定通り引き上げられれば、さらに長期に渡りデフレマインドが根付く可能性が高いことは間違いありません。

 

確かにアベノミクスにより、リーマンショック以降の完全なデフレマインドから脱却できたのは事実ですが、政権当初の公約である「デフレからの完全脱却」に向けた追加の経済政策が求められているのです。

 

【参考】

『デフレと戦う――金融政策の有効性』安達誠司・飯田泰之編著 日本経済新聞社

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
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