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集団浅慮を回避するためには③

もし、全員の意見が同じならば、そこにいる誰も、きちんと考えていないのと同じである。ウォルター・リップマン(政治評論家)」


「集団浅慮を回避するためには②」で、「悪魔の代弁者(意識的に反対意見を言う役目)」の効用について説明しました。しかしながら、いくらそれが役割だからといって、集団の中で1人で異論を唱えるのには勇気がいるでしょうし、個人攻撃と捉えられかねないという心配はあります。そこで、次のような対応策が考えられます。

合意内容や意見をホワイトボードに書き出し、それに対して反論を加える。反論する側としては面と向かってではやりにくいでしょうから、ホワイトボーを攻撃するという形にしてしまうということです。もちろん、反論される側も、そちらのほうが耳を傾けやすいでしょう。

・「では、ここからは(出た案に対する)反対意見を述べてください」といったように、予め協議時間の中で反対意見や懸念を全員が表明する時間を設定する。

相手の意見に反対する際に、「あえて悪魔の代弁者の立場で言うと・・・」といった前置きをすることで、相手への配慮の姿勢を示す。

「全員が即座に一致した場合は、あえて採決をしない」というのも、場合によっては、ありかもしれません。

また、どうしても感情的なぶつかり合いになってしまうのであれば、「最初に必ず協議の目的を明確にし、全員によく認識させる」という手順を踏まえるべきでしょう。長時間あるいは複数回に及ぶ場合は、何回か定期的にでも確認する場を設けたほうがよいかもしれません。

いずれにせよ、単に「公平に耳を傾けましょう」といった精神論ではダメで、集団浅慮の可能性について全員が認識し、協議の仕方について、あらかじめルール化しておくことが求められます。

【参考】
「戦略的交渉入門」田村次朗、隅田浩司著 日本経済新聞社
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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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