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日本銀行のインフレ政策は誤りか? (テレビ等の経済報道に対する批判も踏まえて)①

今回から2回(予定)に分けて、物価というものを確認していきたいと思います。

安保法案が採決され、政治の季節が終わり、これからは経済の季節ということで、新三本の矢(①希望を生み出す強い経済、②夢を紡ぐ子育て支援、③安心につながる社会保障)が発表されました。それを受けてか、テレビのニュース番組を見ていても、久しぶりに経済について取り上げられることが多くなってきたような気がします。

特に平日夜の10時から11時台のニュース番組は、どこもあまりにも報道が偏りすぎていて、バカバカしくなり、最近はあまり見ないようにしているのですが、たまに見ると、「ひどすぎることが多すぎる」。

先日、ワールド・ビジネス・サテライトを見ていたら、日本銀行の黒田総裁の会見についての報道の折に、「生鮮食品を除く食料品の価格が食料は1.9%上昇しているが、なぜ日銀はさらに物価上昇させようとしているのか(目標を変えたほうがいいのでは?)」というようなことをキャスターが言っており、エコノミストが、それを支持するかのように「日銀と庶民感覚ではズレがある」とコメントされておりました。

 「ということはデフレのほうが良いと言いたいのでしょうか?」

念のため、改めて確認すると、デフレとは「物価が継続的に下落すること」で「物価が下落すること」ではありません。一時的に物価が下落しても、やがて(モノの値段か安くなれば、需要が増加するので)物価は自律反発的に上昇するので問題にはなりません。

しかし、物価が継続的に下落し、さらに人々が今後も物価が下落し続けると予想する(デフレ期待)と、大問題になります。もっと価格が下がることが予想されるなら、誰も今買おうとはせず、その結果、もっと価格が下がります。

また、デフレはモノとサービスの総合的な価格が継続的に下がることですが、それが問題になるのは、その結果、企業の売上・利益、そして、その結果、給与や株価(資産価格)が下がる(つまりすべての価格が下がる)ことを意味するからです。

だから、安倍政権になってインフレ目標を2%に目安に置いた政策を行うことで、企業収益、給与、資産価格の上昇を図ろうとしているわけです。

「インフレ(物価の継続的な上昇)も問題だが、デフレはおそらくもっと悪い(インフレが引き起こす不況もあるが、歴史的には不況になるとデフレになるのが普通で、抜け出すのがより困難になる)」ということは、経済学の常識と言っていいと思います。

不況は基本的には需要不足であり、モノの値段が下がるわけですから、当然と言えば当然なのですが(もっともデフレのほうがよいというおかしな経済の専門家もいるのが興味深いです)。

もし、それでもデフレがよいというのなら、次の質問に対する回答を用意する必要があります。

「なぜアメリカやユーロ、韓国は、みなインフレ目標を2%に置いているのか?」
「なぜ2013年度4月までインフレ目標を掲げていなかった日本だけがデフレに苦しんだのか?」
「なぜポール・クルーグマン、ジョセフ・E・スティグリッツといったノーベル経済学(注)受賞者は日本におけるインフレ政策の必要性を主張しているのか?」

(つづく)

注:
正しくは「アルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン国立銀行賞」。ノーベル自身が設置・遺贈したものではないため、賞金はノーベル基金ではなくスウェーデン国立銀行から拠出されている。そのため日本では、経済学賞のみ賞金が課税対象となる(もっともこれまで受賞者はいない)。

【参考】
『マンキュー経済学 II マクロ編(第3版)』N.グレゴリー マンキュー著 東洋経済新報社
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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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