グローバル化がデフレをもたらす!?
以前、日本がデフレに陥っている理由として、「中国からの安価な輸入品の増加」を指摘する識者・マスコミがかなりいましたが、これも個別の事象をもって全体の事象を捉えているケースと言えます。
デフレに本格的に突入した1999年度以降で見ると、日本よりGDPに占める中国からの輸入の割合が高い国としては、韓国、ニュージーランド、ハンガリー、チェコだけですが、このうちデフレに陥ったのは日本だけですから、「中国からの輸入原因説」は成立しません。中国に限らず世界中からの安価な輸入品の流入という点では、日本より深刻な(注)アメリカでもデフレには陥っていないのです。
確かに安価な輸入品が流入すれば、それと競合する国内製品(輸入競合財)の価格は下がります。
しかし、「原油安だとデフレになるの?」で触れたように、所得効果、つまり節約分を他の製品(非輸入競合財)の消費に廻ることにより、製品によっては需要が増加し、価格が上がるものも出てきます。
つまり、安価な輸入品の流入により、価格が下がるものも上がるものもあるわけです。それにもかかわらず、日本では非輸入競合財の価格さえも下がりました。そもそも基本的には輸入品と競合しないサービスの価格も下がったことを考えれば、中国からの輸入をデフレの要因と考えることは無理があります。
日本のGDPに占める中国からの輸入の割合は、1999年度で1.2%程度、現在でも3~4%程度でしょうから、日本全体ではそもそも大した影響ではないのです。
現在、「携帯電話料金を値下げすると、物価が安くなってしまう」とか、「円安は、輸入物価の上昇によって、インフレを起こす」とか、「TPPで関税が撤廃されると安価な輸入品の流入でデフレ化する」いったことが経済の専門家と言われる人から出たりもするのですが、こうした意見は、結局は個々の財の価格と物価を混同しているケースと言えます。
繰り返しになりますが、個々の財の価格と物価は、まったく別のものです。
注:
ただし輸入が増加すること(あるいは貿易赤字になること)は、1国の経済にとって、別に悪いことではありません。これについては、回を改めて考えたいと思います。
【参考】
「デフレと超円高」岩田規久男著 講談社
デフレに本格的に突入した1999年度以降で見ると、日本よりGDPに占める中国からの輸入の割合が高い国としては、韓国、ニュージーランド、ハンガリー、チェコだけですが、このうちデフレに陥ったのは日本だけですから、「中国からの輸入原因説」は成立しません。中国に限らず世界中からの安価な輸入品の流入という点では、日本より深刻な(注)アメリカでもデフレには陥っていないのです。
確かに安価な輸入品が流入すれば、それと競合する国内製品(輸入競合財)の価格は下がります。
しかし、「原油安だとデフレになるの?」で触れたように、所得効果、つまり節約分を他の製品(非輸入競合財)の消費に廻ることにより、製品によっては需要が増加し、価格が上がるものも出てきます。
つまり、安価な輸入品の流入により、価格が下がるものも上がるものもあるわけです。それにもかかわらず、日本では非輸入競合財の価格さえも下がりました。そもそも基本的には輸入品と競合しないサービスの価格も下がったことを考えれば、中国からの輸入をデフレの要因と考えることは無理があります。
日本のGDPに占める中国からの輸入の割合は、1999年度で1.2%程度、現在でも3~4%程度でしょうから、日本全体ではそもそも大した影響ではないのです。
現在、「携帯電話料金を値下げすると、物価が安くなってしまう」とか、「円安は、輸入物価の上昇によって、インフレを起こす」とか、「TPPで関税が撤廃されると安価な輸入品の流入でデフレ化する」いったことが経済の専門家と言われる人から出たりもするのですが、こうした意見は、結局は個々の財の価格と物価を混同しているケースと言えます。
繰り返しになりますが、個々の財の価格と物価は、まったく別のものです。
注:
ただし輸入が増加すること(あるいは貿易赤字になること)は、1国の経済にとって、別に悪いことではありません。これについては、回を改めて考えたいと思います。
【参考】
「デフレと超円高」岩田規久男著 講談社
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