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キャリアはデザインするものなのか?①

「金よりもやりがい(自己実現)が大事」ということがよく言われます。確かに。仕事にやりがいを求めるのは自然なことです。「自分の強みや,やりたいことを明らかにし,自己実現できる仕事を選ぶことが大切だ」ということで,大学でも早ければ1年くらいからキャリアデザインを履修するようですし、社会人になっても会社からキャリアデザインを求められるケースが多くなっています。

 

■キャリアはデザインするものなのか?

 

典型的なキャリアデザインというと,「5年後,10年後,30年後の自分のなりたい姿を思い浮かべ,その実現に向けて準備する」というものでしょう。そのために自分の強みを棚卸するように求められます。

 

しかし、「将来の自分のなりたい姿」「自分の強み」を明らかにできる人はどれくらいいるのでしょうか?社会経験がほとんどない学生にはまず無理な話でしょう。逆に「自分のなりたい姿」「自分の強み」がはっきりしているほうが不自然です。「社会経験がないのになぜ分かるのか?」「ただの思い込みでは?」と私なら疑ってしまいます。

 

もっとも原因は、そうしたことを面接やエントリーシートで安易に求める大人(会社)側にあると思います。私も就職活動のときに、逆に面接官やリクルーターに「就職する時にあなたの強みは何でしたか?」「どういうキャリアを思い浮かべていましたか?」「実際にそのようなキャリアを歩んでいますか?」と聞いたことがあるのですが、納得できる答えは得られなかった記憶があります。おそらく面接する方も確かなものなどなかったのではないでしょうか?

 

これは社会人でも同じだと思います。「これからどうしたいのか?」聞いても、「仕事と家庭を両立したい」「出世したい」「金をたくさん稼ぎたい」「世の中に貢献したい」「自分にあった仕事をしてやりがいを感じたい」といった返事は出るかもしれませんが、結局は学生時代と同じで、抽象的な話レベルであることが多いのではないでしょうか?

 

 

■自己実現にこだわる愚かさ

 

自分のやりたいことや強みがはっきりしないのに、自己実現のためのキャリアデザインをしようとすると大変困ったことになります。変に「どうしたいのか」「自分の強みは何か」にこだわってしまうと、(もともと客観的に答えられないようなことなので)そこで脚が止まってしまい,就活などとてもできなくなります。

 

また社会人なら、「今の仕事は本当にやりたいことなのか?」「自分の適性に合ったものなのか?」考え出したら、目の前の与えられている仕事に身が入らなくなり,キャリアにプラスになることが何も得られないという無駄な時間を過ごすことになってしまうでしょう。

 

 

■正しいキャリアの考え方

 

このような実態を受けて,キャリア論の専門家の中から,「そもそもキャリアは事前にデザインするものではない」という意見が多く出ています。「結局,仕事はやってみなければ分からない」というわけです。

 

「やってみたら向いているかどうか分かるし,やっているうちにスキルや知識が身につき,それが強みになる。それを繰り返しているうちに,強みが増え,その結果,自分が本当にやりたいことが見えてくる。」

 

これが正しい将来のキャリアに対する考え方なのです。

 

【参考】

『自己実現という罠 』榎本博明著 平凡社

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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