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リアリズムに基づく採用②

RJPRealistic Job Preview:現実的な仕事情報の事前開示)の効果については、1970年代初頭の電話会社SNETの電話交換手(自動交換機導入前)の調査があります。電話交換業務は、社会インフラを支える社会的な意義がある仕事であり、最初のうちは次から次へとかかってくる電話を直ちにつなぐというゲームのような興奮があるといわれます。しかしながら、慣れてくるとルーティンとなり、退屈となります。さらに個人個人で業務を行うので、孤独感があります。

 

同社は、募集のための仕事紹介フィルムで、以前は電話交換業務の良い点ばかり強調していましたが、職員の観察やインタビューに基づき、RJPに沿ったフィルムを作成するとともに、なぜ悪い点を含めた現実的な仕事の姿を示すのか説明したパンフレットを作成しました。

 

<それまでのフィルム>

・皆が楽しそうに仕事をしている

・エキサイティングな仕事

・重要な仕事

・チャレンジングな仕事

 

RJPのフィルム>

・多様性に欠けた仕事

・職務はルーティンで、退屈になるかもしれない

・詳細な監督で、自由があまりない

・職場で友達を作りにくい

・間違った振る舞いは批判されるのに、褒めてもらえそうな仕事をしても賞賛はない

・最初はチャレンジングかもしれないが、いったん学習すると簡単であまりチャレンジングではなくなる

 

<説明用のパンフレット>

皆さんに交換手の職務のフィルムを事前にご覧頂いたのは、2つの理由があります。

1.   あなたが交換手になりたいかどうか自分で決める前に、私どもはあなたにこの職務についてよく知ってもらいたいからです。

2.  もしあなたが交換手になると、この職務で現実主義的に何を期待できるのかについて、あなたにはよりしっかりとした考えを持ってもらえるからです。

もし、あなたが交換手になれば、次のようなことが現実的に期待できます。

・変則的な作業日程―週末や休日の勤務、とんでもない時間帯の勤務

・規則正しく出勤するように要請されること

・人々の電話をかけたい先につなぐか、あるいは問い合わせの電話番号を探す

・雇用の安定、訓練中の給与全額支払、良好は福利厚生

・標準の手続きに対する厳格な注意を要する単調な仕事

・賃金アップは、職務業績によって決められること

・仕事において正確さとスピードが要請されること

 

同社のRJPは、目的どおり、応募者の職務への期待を現実に即したものとすることができ、さらにその結果、期待と現実との違いからのショックが理由でやめようとする人が減り、定着率の向上に役立ったそうです。

 

変によいことばかりアピールして応募者を募っても、リアリティ・ショックからすぐにやめられてしまっては、採用、育成コストが無駄になるだけです。逆に、採用した人が、実際に仕事で苦労しても、事前にその情報を与えられていれば、心構えが出来ている分、うまく対処出来るでしょう、すくなくとも、「こんなはずではなかった。騙された。」という不満は防げるはずです。

 

 

【参考】

『働くひとのためのキャリア・デザイン』金井壽宏著 PHP研究所

 

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
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