政府は国債発行を増やすべき
間をおかず二度の大型台風で河川の氾濫等により甚大な被害が報道されています。都内に比べて地方の防災インフラの脆弱性が指摘されています。
報道では被害の内容や、早く避難しろといった個人の対応、被害発生時の地方行政の対応についてのものがほとんどのように感じます。これでは「大変ですねえ」「気をつけなければいけませんねえ」で話が終わってしまいます。
激甚災害指定される災害は必ず年に数回あるということを考えると、国としての対応が求められます。しかしながら、消費増税時にみられたように、「国の財政再建が必要」というのがメディアのスタンスなので、財政出動によるインフラ整備の議論はほとんどされません。
「箱モノ行政」と揶揄されるような予算のバラマキはするべきではありませんが、費用(投資)対効果が見込めるもの、すなわち財政投資以上に経済的利益がある案件については、いくら財政出動しても妥当性があります。
公共投資を決める際の基準にB/C(Benefit Per Cost
費用対効果分析)というものがあります。Cを上回るBが見込めるものは、すべて実施されることが合理的です。
防災インフラはその典型です。インフラ投資により、経済的ロスを大幅に抑えることができ、その効果は将来世代へと続きます。
さらにインフラ投資のための資金調達環境も最適なタイミングです。日本国債の利回りは、10年ものまですべてマイナスの金利です。これは政府が国債を発行したら、金利収入が入ってくる(国債を発行するほど国は得をする)という状態です。マイナス金利の状態では、国債は負債ではなく資産となるのですから、政府はもっと積極的に国債を発行すべきです。
さらにいえば、現在、日銀は買い入れ対象となる国債が不足しているので、買いオペの量を大幅に縮小しています。政府が積極的に国債を発行すれば、日銀は買いオペ額を増やすことができ、脱デフレにもつながります。
このような主張は嘉悦大学の高橋洋一教授がさかんに主張されていますが、財政再建という美旗を掲げ、増税すら是認する現在の環境のもとではかなり厳しいでしょう。