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コミットメントと一貫性の原則①

人は自身の行動、発言、態度、信念などに対して一貫したものとしたい(あるいは一貫していると見られたい)という心理が働きます。これを「コミットメントと一貫性の原則」といいます。

 

心理学者のトマス・モリアーティの実験を紹介します。ニューヨーク州のあるビーチで盗難事件を仕組み、それを目撃した人が、危険を顧みずに阻止するかを実験しました。

 

実験の協力者は、無作為に被験者を選び、その人のビーチシートから1.5mほど離れたところにビーチシートを敷きます。その後、協力者はゆったりとくつろいで持参したラジオから流れる音楽に耳を傾けます。そしてしばらくして立ち上がり、シートから離れてビーチの散歩に出かけます。そこにサクラの泥棒が表れ、協力者のラジオを盗んで立ち去ろうとします。

 

<実験1>

協力者は、近くにいる被験者に何も声をかけずに、ビーチの散歩に出かけます。

<実験2>

協力者は、近くにいる被験者に、「荷物を見ていてもらえますか」と声をかけて(被験者の全員が請負いました)、ビーチの散歩に出かけます。

 

実験1では、泥棒を止めようとしたのは、20人中わずか4人でしたが、実験2では20人中19人が泥棒に「何をしているんだ」と声をかけて止めようと詰め寄りました。

 

見ず知らずの泥棒に声をかけることは勇気がいる行為です。にもかかわらず、荷物を見張ることに同意したために、その同意を果たそうという意思が生じたものと考えられます。要は、最初の発言のつじつまを合わせたのです。

 

 

【参考】

『影響力の武器 第二版』ロバート・B・チャルディーニ著 誠信書房

 

 

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
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